Amazon、Apple、Google、Intuit、PayPalによって昨年11月に結成された公共政策連合「Financial Innovation Now(FIN)」が、FinTechおよび金融産業促進を狙った協調戦略を打ちだすよう、トランプ氏に書面で正式に要請した。
トランプ氏の勝利によって不安要素が加わったFinTechの未来を、なんとか軌道にとどめるための動きである。
送金業務ライセンス発行、テクノロジー財務省次官任命などの戦略が重要
FINはトランプ氏宛ての書簡の中で、「米国の議会や規制当局はFinTechの革命的可能性を認識しているが、より強力なリーダーシップと協調性が必須となる」とし、重要な政策への取り組みが実施されるべきだとの見解を示している。
特にカード決済の安全性に関する相互運用基準の設置、送金業務ライセンスの発行、消費者やサードパーティーが容易にデータにアクセス可能なオープンAPIの提供などが重視されているほか、テクノロジー財務省次官の任命、オンライン・マーケットプレースの規制緩和、モバイル技術を利用したファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)の促進などへの戦略が求められている。
FINはトランプ氏の政権移行作業チームと協調して、新たな規制に沿って働きかけていく意向を明らかにしているが、すべてはトランプ氏の戦術次第といったところだろうか。
トランプ氏は選挙活動中から、FinTechの成長に欠かせないオープン・インターネット環境の規制を政策のひとつにかかげてきた。様々な範囲におよぶ影響を考慮にいれずオープン性が制限されれば、FinTechの成長に歯止めをかけることになる。
また新政権誕生による先行き不透明さから、米FinTechへの投資が落ちこむとも予想されている。法人税大幅軽減など大手企業にとって歓迎すべき政策も提案されているが、トランプ氏の理解と支援なくしてFinTechの跳躍は期待できないだろう。
FINの直訴に肝心のトランプ氏がどこまで注意を払うかーー「あまり期待は持てそうにない」との見方が濃厚だが、今後の行方に注目したい。( FinTech online編集部 )
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