年金,確定申告,控除
(写真=Nikodash/Shutterstock.com)

年金は税法では雑所得に分類され、所得税および復興特別所得税が発生する所得の一つだ。給与の場合は年末調整が行われるが、公的年金等に対しては年末調整が行われないため、収入金額によっては確定申告の必要が生じる。今まで給与所得のみで生活していた人にとっては、少し面倒に感じるのではないだろうか。

だが、公的年金等には確定申告不要制度というものがあり、多くのケースにおいて確定申告をしなくてもいいようになっている。どのような制度なのか、また、どのような条件を満たしていれば確定申告不要制度が適用されるのかについて解説する。


確定申告不要制度とは

通常は1月1日~12月31日までに発生した全ての所得に対する所得税額と復興特別所得税額を計算し、翌年の申告期限までに確定申告を行い、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金の過不足を精算しなくてはならない。

もちろん、公的年金も例外ではない。障害年金や遺族年金などは非課税の年金だが、老齢基礎年金や老齢厚生年金は課税対象であるので、一定金額以上の支給を受けるときは所得税と復興特別所得税が源泉徴収されており、確定申告を実施して税金の過不足を精算しなくてはならないのだ。

だが、確定申告書類を作成したり、税務署まで出向いて申告書類を提出したりすることは、年金受給者にとっては大きな負担になることは想像に難くない。そのため2011年分の公的年金の確定申告(2012年2月中旬~3月中旬)から「確定申告不要制度」が導入され、多くの年金受給者が確定申告を実施する必要から解放された。

確定申告不要制度を受ける要件

しかし、公的年金を受給している人が全て確定申告不要制度の対象者となるわけではない。特定の条件を満たしている人のみに、この制度が適用されるのだ。対象者の条件は次の2つである。両方を満たしている場合は、確定申告を敢えてする必要はなくなる。

  • 公的年金等の収入額が年間400万円以下である。
  • 公的年金等以外の所得が年間20万円以下である。

公的年金等とは

ここで言う「公的年金等」とは、老齢基礎年金(国民年金から支給を受ける年金)と老齢厚生年金(厚生年金から支給を受ける年金)、老齢共済年金(共済年金から支給を受ける年金、ただし2015年10月以降は厚生年金と統合された)を意味している。また、恩給や過去の勤務に基づきかつての雇用者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給される年金も「公的年金等」に含まれる。

公的年金等以外の所得とは

公的年金等以外の所得には、個人年金や給与所得、生命保険の満期返戻金、不動産を活用した収入など、公的年金等以外のものは全て含まれる。ただし、遺族年金や障害年金は非課税の年金であるので、公的年金等にも公的年金等以外の所得にも含まれない。

制度対象者でも確定申告が必要な場合

家賃収入があったり、多額の個人年金を利用している人以外は、ほとんどのケースで確定申告不要制度の対象内になるだろう。だが、制度対象者であっても、下記の場合には、所得税と復興特別所得税の還付を受けられることもあるので、必要書類を準備して確定申告に臨みたい。

  • 高額の医療費を支払った場合
  • 住宅ローンを利用して住居を新たに取得した場合
  • 災害により住宅や家財を含む生活に必要な資産が失われた場合
  • 盗難や横領により生活に必要な資産が失われた場合

年金受給者の控除額について

65歳未満の年金受給者の控除額

  • 基礎控除38万円+年金所得による控除70万円=108万円が控除される。
  • 70歳以上の配偶者がいる場合は配偶者控除が38万円に代わり48万円となり、合計118万円が控除される。
  • 70歳以上の親族を扶養している場合は扶養者控除が38万円に代わり48万円となり、合計118万円が控除される。さらに納税者もしくはその配偶者が、両者いずれかの父母か祖父母と同居している場合は10万円加算され58万円となり、合計128万円が控除される。

65歳以上の年金受給者の控除額

  • 基礎控除は38万円+年金所得による控除が120万円=158万円が控除される。
  • 70歳以上の配偶者がいる場合は配偶者控除が38万円に代わり48万円となり、合計168万円が控除される。
  • 70歳以上の親族を扶養している場合は扶養者控除が38万円に代わり48万円となり、合計168万円が控除される。さらに納税者もしくはその配偶者が、両者いずれかの父母か祖父母と同居している場合は10万円加算され58万円となり、合計178万円が控除される。

また、これらの控除を受ける場合には、必ず「扶養親族等申告書」の提出が必要となる。提出されない場合は、各種控除が受けられないだけでなく、源泉徴収税率も異なってくるので、必ず提出するようにしよう。

制度を賢く利用する

確定申告不要制度は確かに確定申告の手間が省ける便利な制度だが、税還付の対象になる場合は、必要書類を準備して確定申告を行ない、払い過ぎた税金の還付をしっかりと受けるようにしよう。必要に応じて制度を賢く利用することが大切と言えるだろう。

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