最終財への下押し圧力は和らぎつつある

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11月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比▲13.3%(10月:同▲6.0%)、中間材が前年比▲4.6%(10月:同▲5.3%)、最終財が前年比▲2.8%(10月:同▲3.2%)となった。

国際商品市況の持ち直しや円安の進行を受けて素原材料は下落幅を縮小しており、最終財への下押し圧力は和らぎつつある。もっとも、既往の円高による物価押し下げ圧力が遅れて反映されることから、最終財の下落幅縮小は緩やかなものとなるだろう。このため、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い最終消費財は年末にかけてマイナスが続いた後、年度末までにプラスに転じると予想される。

先行きも国内企業物価の持ち直しは緩慢

足もとの金融市場はトランプ氏の勝利を好感し、国際商品市況の改善・円安が進行していることから、前月比でみた国内企業物価(夏季電力料金調整後)は2ヵ月連続でプラスとなった。また、OPECの減産決定を受け原油価格(ドバイ)は1バレル=50ドル台で推移しており、物価下落圧力は緩和される方向にある。

もっとも、既往の原油安・円高による物価下落圧力は残存しているため、国内企業物価の持ち直しは緩慢なものにとどまることが予想される。国内企業物価は、円高・原油安の影響が一巡する2016年度末頃までマイナスが続き、2017年度入り後にプラスに転じるとみている。

岡圭佑(おか けいすけ)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究員

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