外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンはこのほど、2017年の国内転職市場の10大トレンドを予測、発表した。まず10項目を見たうえで、同社の分析を紹介しよう。

  1. 人材のミスマッチが深刻化
  2. バイリンガル人材の需要が拡大
  3. 問題解決スキルを持つ人材の需要が拡大
  4. デジタルスキルを持つ営業とマーケティング担当者への需要が拡大
  5. テクノロジー、 eコマース企業への関心が高まる
  6. フレキシブルな転職活動
  7. ソリューション販売
  8. HRビジネスパートナーの不足
  9. オリンピック効果
  10. 新規テクノロジーの急成長

まず「1 人材のミスマッチが深刻化」については、同社が先日発表した調査研究「グローバル・スキル・インデックス」でも、企業が必要とするスキルと実際に求職者が持っているスキルが大きくかい離していることが分かっており、このミスマッチが深刻化すると予測している。このインデックスは、世界33カ国の労働市場おける人材の需給効率を評価・分析したものだ。日本は「人材のミスマッチ」について、9.8と極めて高いスコアがついていた。

次に「2 バイリンガル人材の需要が拡大」だが、多くの企業が、国内の状況をしっかり伝えられる高レベルのバイリンガル人材を積極的に採用するとしている。「3 問題解決スキルを持つ人材の需要が拡大」については、ITやコンシューマー業界、 製造業界を中心に、顧客からの信頼獲得に関して実績を持つ人材を強く求める傾向が高まると予想した。

「4 デジタルスキルを持つ営業とマーケティング担当者への需要が拡大」については、デジタルメディアプラットフォームを最大限に活用できるセールスおよびマーケティングマネージャーの採用が活発になると指摘している。そして「5 テクノロジー、 eコマース企業への関心が高まる」の項目では、若手人材を中心にテクノロジー企業やeコマース企業への関心が高まると予想。「こうした若手人材が別の会社への転職を考え始める前に、会社につなぎとめておけるよう新たな戦略を策定する必要がある」としている。

「6 フレキシブルな転職活動」は中堅レベルの人材について言及。特定の業界に固執することなく、 さまざまな業界で働くことをいとわなくなると予測した。「7 ソリューション販売」については、2017年も引き続き 高い需要が見込まれるとする一方で、「多くの企業がより厳しい選考プロセスを設けるようになっていることに留意する必要」があると指摘。「8 HRビジネスパートナーの不足」については「多数の企業が業務の改善を図るためにHR部門でビジネスパートナーを新たに採用する」としたうえで、消費財や金融、製造業といった業界で、中堅レベルのHRビジネスパートナーの需要が高まると述べている。

「9 オリンピック効果」は2020年の東京オリンピックが念頭にある。近づくにつれてカスタマーサービス担当者の需要が次第に高まり、 特にバイリンガルの人材が強く求められるようになるとしている。

最後の「10 新規テクノロジーの急成長」では、ITスペシャリストの需要の高まりを予想。その理由として、企業が事業体制の最適化やマネジメント効率の強化のために社内システムのアップグレードを図っていること、自動運転、人工知能、ロボット工学といった新規テクノロジーの急速な成長などを挙げている。

ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクター、 マーク・ブラジ氏はコメントで、「2017年には日本国内で新規テクノロジーの開発や製造を支えるために、多数の新規職種が誕生すると考えられます。自動運転や人工知能といった注目度の高いいくつかの分野では人材不足が深刻なレベルに達し、限られた数の優れた人材を巡って企業は極めて厳しい争奪戦を勝ち抜かなければならなくなるでしょう」と指摘した。

さらに「2017年も、深刻な人材のミスマッチが生じた状況で優秀な人材を確保するために、 企業間で激しい争奪戦が続くことになりそうです。ITや金融を始めとする一部の業界では、 フィナンシャルプランニング分析、 ウェブ開発といったニッチなスキルの需要拡大に対応するため、海外人材の採用を検討せざるを得なくなるかもしれません」と予想している。(ZUU online 編集部)