デビットカード,ETC
(写真=chombosan/Shutterstock.com)

高速道路の料金所をさっと通りぬけていくことができるETCカード。料金所に長蛇の列ができているのを見ると、やはり1枚は作っておくべきと感じるのではないだろうか。

だが、ETCカードを作るためにはクレジットカードが必要となる。クレジットカードには何となく不安を覚えるという方にとっては、ETCカードの発行はハードルの高いものになる。そこで、クレジットカードがなくてもETCカードを発行することができるのか、クレジットカードの代わりに利用されることもあるデビットカードでETCカードを発行できるのかについて探っていこう。


デビットカードとは?

デビットカードは、口座直結型のカードのことである。サービスやショッピングの利用でデビットカード決済を選択すると、その場で金融機関の口座から利用代金が引き落とされる。デビットカードでは口座残高を超える利用はできないので、クレジットカードを持ってしまうと自分が支払える限度を超えて使ってしまいそうで怖いと考える人にも適しているといえるだろう。

また、クレジットカードは、一括払いで支払う場合でも翌月やそれ以降の支払いとなり、一時的にお金を借りることになる。そのため、クレジットカードを作るためには審査を受ける必要が生じるが、デビットカードはお金を借りるわけではないので審査なしで発行することができ、15歳や16歳といった未成年でも作れるものもある。

デビットカードではETCカードを作れない理由

デビットカードは、クレジットカードと同じように番号が記されており、VISAやJCBなどの国際的クレジットカードブランド加盟のものであれば、クレジットカードと同様にVISAやJCBの加盟店舗で利用することができる。このようにクレジットカードとの類似点も多いといえるデビットカードではあるが、クレジットカードのようにETCカードを発行することはできない。なぜデビットカードではETCカードの発行ができないのだろうか。

答えはシンプル!後払いができないから

ETCカードは、有料道路に入るときと出るときに専用の機械でカード情報を読み取って利用代金を精算する仕組みになっている。後払いのクレジットカードであれば、通常のショッピングのように有料道路の利用料金の後日精算も容易だ。

ETCカードの料金をデビットカードで支払うとして、有料道路に入ったときには利用料金はまだわからない。有料道路から出るときに金額が決まるが、そこで請求する料金が口座残高を超えていることがその時点でわかっても手遅れ(請求不可)になってしまうという問題が発生する。

デビットカードは即時払いのため、料金がいくらになるかがカードを読み取った時点でわからないものの支払いには利用できないことが多いのだ。有料道路の料金以外にも、ガソリンスタンドなども当てはまる。

読み取りに時間がかかることも理由の1つ

クレジットカードなら後払いになるので、そのままETCカードの情報を読み取って料金を計上すればいい。しかし、ETCカードの支払いをデビットカードで行うとなると、有料道路を出るときに以下の3つの工程を経る必要が生じるので、スムーズにゲートを通過できなくなってしまう。

  • ETCカードの情報を読み取る
  • デビットカードが利用できるかどうか金融機関に問い合わせる
  • 利用可能という結果が出たときだけ、ETCカードの利用を認める

そのため、ETCカードならではのスピード対応が実現できなくなってしまうという問題もあるのだ。

ETCカードをクレジットカードなしで作る方法はあるのか

クレジットカードを持っているなら、簡単にETCカードを発行することができる。クレジットカードによってはETCカードが即日発行可能なものもあるので、ETCカードの利用予定日が迫っているようなケースでも問題なく対応することが可能だ。

だが、クレジットカードを持っていない場合はどうだろうか。クレジットカードを持っていない場合でも個人がETCカードを発行する方法はあるのだろうか。

ETCパーソナルカードを発行する

ITSサービス高度化機構が発行している、有料道路の支払いに特化した「ETCパーソナルカード」というものがある。これならクレジットカードがなくてもETCカードを持つことができる。ただし、このETCパーソナルカードは、利用料金とは別に「デポジット(保証金)」を入金しておく必要がある。このデポジットを担保として入金しておくことで、実際の利用金額を後払い(1カ月単位で口座引き落とし)にすることができるのだ。

なお、デポジットの金額は「予想される1カ月の平均利用金額の4倍」とされており、最低2万円、以降は2万円単位(4万円、6万円……)で入金しておかなくてはならない。

また、デポジットや利用料金とは別に年会費(2016年12月14日時点で1234円)がかかることも覚えておきたい。ETCパーソナルカードは申し込んでからデポジットを入金し、ETCカードとして利用できるようになるまでに3~4週間ほどかかる。急ぎの場合には対応できないので、前もって申込用紙を取り寄せておくようにしたい。

デポジットや年会費が必要といったように、ETCパーソナルカードにはデメリットも少なくない。ほとんどのクレジットカードではETCカードを無料で発行しているので、クレジットカード経由でETCカードを作るほうがおすすめといえる。