相続対策,遺言
(写真=PIXTA)

「遺言」のハードルは高い。最近メディアなどで相続対策の必要性が声高に叫ばれるものの、子どもと面と向かって相続を話し合うのも腰が引けるし、ましては兄弟に分割などといわれても……という気持ちになるだろう。ただ、相続は早めに準備することで、負担を軽くすることができる。40代になったら少しずつ、相続準備を進めることを提案する。40代から始めることのできる、相続対策について考える。

1. 40代から始める相続対策

40代といえば子どもは教育費がかかる時期。住宅を購入した場合は、毎月の住宅ローン返済も家計に重く圧し掛かってくることだろう。こうしたやり繰りに毎年大変なのに、相続と聞かれても「そんなの後だ」となりかねない。ただ、教育費や住宅ローンの返済が落ち着き、相続を考え始めてからの相続対策は、思わぬ「突っ込み」を受ける可能性がある。

相続対策として代表的な贈与。特に、「毎年110万円以下であれば贈与税がかからない」とする「暦年贈与」は制度の知名度も高く、注目されている。ただ、この暦年贈与は注意が必要な制度でもある。

本来は贈与税の対象となるお金があり、そのお金を節税対策のために敢えて110万円以下に分割して毎年贈与をしている場合は、定期贈与(定期金給付契約に基づく贈与)とされ、贈与税の課税対象となるケースがある(参考:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm )。そのため、40代などの早い段階から毎年贈与に充当できるお金を都度、都度渡しておくという方法が有効だ。

ただ、兄弟が2人以上いて、どちらかに贈与財産が固まるのは避けたいところ。そのため、最終的に財産配分がどうなるのかのグランドデザインを描きながら、暦年贈与を継続していくようにしたい。

2. 税理士と信頼関係を築いておく

もちろん贈与の方法は暦年課税だけではない。居住用住宅の贈与は教育贈与非課税制度など、いわゆる生前贈与として活用できる制度は幅広い。暦年贈与と同じく知名度の高い相続時精算課税制度は原則60歳以上にならないと使えないものの、60歳が近づいてから制度の活用を考えるのか、40代から贈与資金の準備を始めているのか、この制度を活用できる範囲も大きく異なる。

ただ、このような対策は税金に関する知識がないと正確に準備するのはとても難しいもの。そこで、税理士やFPなどの専門家に40代などの早い段階で相談しておき、信頼関係を築いておくことを勧めたい。会社の経営者のように顧問契約を結ぶようなら高価なランニングコストが必要になるが、単発の相談だと数万円の相談料で完了することも。一見高い印象はあるが、数万円の費用で今後何年にも渡る相続対策、贈与対策の全体像が定められるのは、極めてコストパフォーマンスが高いといえるだろう。

3. 子どもと相続について共有する

40代から始められる相続対策は、制度について、また外部との関係だけではない。いずれ相続することになる妻や子どもと相続について話しておくのも、とても効果的だ。5年10年のスパンで、家族としてどのような準備が必要なのか。万が一自分が亡くなることがあったら、子どもにはどのような動きをする必要があるのか。遺言書やエンディングノートというハード面にとどまらず、普段から繰り返し話をしておく、ソフト面の整備も心掛けるようにしたい。長期間におけるそのコミュニケーションが、相続時のトラブルを避ける一番の対策といえるだろう。

工藤 崇(くどう たかし)
FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じ、Fintech領域のリテラシーを向上させたい個人や、FP領域を活用してFintechビジネスを検討する法人のアドバイザーやプロダクト支援に携わる。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居。執筆実績多数。

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