オタク,アニメ,漫画,コミック,経済効果
(写真=PIXTA)

日本の重要な輸出品としての地位を固めつつある「オタク文化」。政府観光局が外国人向けのパンフレットとして作成している「JAPAN ANIME MAP」を見ても、コスプレが推奨されていたり、秋葉原が「聖地」として紹介されていたりと、既に社会的な地位を得て久しい。

先日発表された矢野経済研究所の「『オタク』市場に関する調査結果」では、1人あたりの年間消費額でアイドルオタクが8万円弱、アニメオタクが3万円弱などとされたが、これに対してネットでは「少なすぎるのでは?」という意見も多数見られた。いずれにせよ、オタクが費やすお金はかなり大きなものになっていることは間違いない。

東京オリンピック・パラリンピックを控えてますます日本文化が注目を集める中、「オタク関連銘柄」の動きから目を離すわけにはいかない。

創通――ガンダムシリーズなどで知られる

「ガンダム」シリーズで知られる創通 <3711> は広告代理店でバンダイナムコホールディングスの持分法適用会社。放送局から放送時間枠を買い切り、アニメ制作会社とともにアニメーション番組を企画・制作し、スポンサー企業を集め、製作委員会の組成を行うといったプロデュース業務を行っている。

またアニメのキャラクターの版権を保有することにより、キャラクター商品のプロモーションやキャラクターを使用した販促キャンペーン、キャラクターイベントなどを企画・提案する版権ビジネスも、事業の柱のひとつだ。

東映アニメーション――1956年創設の老舗、制作アニメ数は世界有数

東映系のアニメ制作老舗の東映アニメーション <4816> は、1956年に創設されて以降、半世紀以上にわたってアニメーション製作の第一線で数々の作品を製作してきた。そのコンテンツ数は2016年3月末現在で劇場作品が228本、テレビ作品が212本、総話数にして1万2049話という日本最大、世界でも有数のものとなっている。

古くは「Dr.スランプ・アラレちゃん」や「ドラゴンボール」、「セーラームーン」など、最近でも「ONE PIECE」や「プリキュア」シリーズなど誰もが知る作品を多数手がけている。

IGポート――攻殻機動隊シリーズで知られるプロダクションI.Gの持ち株会社

持株会社のIGポート <3791> と、主な連結子会社5社や米国法人などから構成されているIGグループは、劇場、テレビ、ビデオ、ゲーム用アニメーションなどの映像制作事業とコミックの企画・出版、およびこれら作品の版権事業を主たる業務としている。

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズの人気キャラクター「タチコマ」を活用した接客サービスの実証実験は、経産省による2016年度の「ロボット導入実証事業」にも採択されており、バーチャル世界とリアル世界を結びつける実験として注目されている。

マーベラス――IP活用したゲームの企画制作

マーベラス <7844> はコミックやアニメなどのIP(知的財産)などを活用し、DVDやゲーム、音楽、興行などの企画・制作を事業展開している。またスマホ、SNS プラットフォームなど向けのオンラインゲームの企画・開発・運営も行っている。

代表的な作品に「剣と魔法のログレス」や「刀剣乱舞-花丸-」、「遊☆戯☆王ARC-V」など、多くのアニメ作品やゲームがある一方、変化の激しいオンラインゲーム市場においては、話題となるコンテンツを迅速かつ継続的に供給するための開発を積極的に行っている。

ガンホー・オンライン・エンターテイメント――パズドラ以外にも注力

ソフトバンクの持分会社であるガンホー・オンライン・エンターテイメント <3765>は、スマホゲームの「パズル&ドラゴンズ」を収益の柱にしている。家庭用ゲームでも広く知られる同社なのだが、実は「ラグナロク・オンライン」などのオンラインゲームで「萌えバブル」と呼ばれる経済現象もけん引したと、経済メディアでも報じられている。

「ディズニー マジックキングダム」や「セブンス・リバース」などのスマートフォン向けのゲームや、かわいいアバターが人気の「エミル・クロニクル・オンライン」などのPCオンラインゲームも根強いファン層を獲得している。

日本ファルコム――PCゲーム時代から存在

ゲームが専用機やスマホではなく、PCで楽しまれていた時代から存在する老舗、日本ファルコム <3723> は1981年の創立以来、「クリエイターが、自分の本当に創りたいものを追求できる場所」であることを目指している。

事業の主力はプレイステーションシリーズ(PSP、PS3、PS4など)ハード向けゲームソフトの企画・開発で、ロールプレイング系が得意分野だ。特に知られているものとして、「ドラゴンスレイヤー」「イース」「英雄伝説」シリーズがある。またアプリなどの版権事業にも比重を置いている。

2017年 2 月 21 日には、アクションRPG「イース」シリーズの人気作「イース・オリジン」をPlayStation4用のタイトルとして、日本を含む世界各国で発売するという。

まんだらけ――「ないものはない」といわれる品ぞろえ

漫画専門古書店の最大手であるまんだらけ <2652> は、まさにオタク文化の象徴的な存在だ。ひとたび同社のWebサイトを開くと、アニメ原画・玩具販売ブリキのおもちゃ、ドール、WEBコミック男性アイドル関連グッズ、同人誌、コスプレなどなど、サブカルチャー分野をはじめとした、あらゆる分野のマニア垂涎のグッズが並ぶ。まんだらけには「ないものはない」とすら言われるほど品ぞろえは充実している。

同社による独自の値付けには定評があり、アイテムの市場価値を決定づけてしまうほどにまで、その鑑定は大きな影響力を持っている。

ブロッコリー――創業者は元証券マン

ゲームソフトやカードゲーム、キャラクターグッズ企画・製作のブロッコリー <2706> が目指すのは、「発展」と「安定」の高次元での両立だという。そのための第一のアプローチが、TVゲーム、カードゲーム、CD、アプリなどの自社コンテンツ制作でのヒット創出と、ハイリターンの追求だ。

同社の主力コンテンツであるゲームソフトの「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズをプレステ向けに展開するほか、関連CDなどの物販も手掛けている。過去にはキャラクターグッズ販売店「ゲーマーズ」を展開していた。

同社の初代社長である木谷高明氏は元山一證券マン。ブロッコリーを離れてからはカードゲームなどを手がける会社としてブシロードを創業している。(ZUU online 編集部)