カゴメ <2811> の新しい「野菜生活100」シリーズが好評だ。カルビー <2229> のフルーツグラノーラが「第3の朝食」として市場を切り開き、会社の業績や株価を一変させたように、カゴメの新商品も新しい需要を開拓する期待が高まっている。
新商品で「ダイエット」や「健康志向」の需要を喚起
カゴメといえば、かつては「トマト」のイメージが強かった。現在もそうしたイメージを抱いている人は少なくないだろう。
しかし、同社は生涯健康飲料としての軸足を「トマト」から「野菜」に移しつつある。「カラダの調子をととのえる」をキーワードとして、健康飲料としての新市場を喚起することを目標に歩み始めているのだ。
トマトジュースは、日本初のHDL(善玉)コレステロールを増やす「機能性表示食品」としての届け出を行い、平成28年2月から発売を始めた。その結果、成熟市場であるトマトジュースの今期の推計売上は203億円と23%増加する見込みだ(カゴメ調査、中間期時点)。
一方、「野菜生活100」シリーズも進化を遂げている。たとえば「野菜生活100 ピール&ハーブ」は、「レモン・レモングラスミックス」「グレープフルーツ・バジルミックス」といった今までの野菜・果実ミックスジュースにはない新規性を目指し、気分転換やリフレッシュ用の飲料として注目されている。
また、「野菜生活100 スムージー」は「朝のピタヤ&バナナミックス」「朝のグリーン&バナナミックス」「なめらかマンゴーMix」「とろとろブルーベリーMix」などをラインナップ。いずれの商品も食べごたえを打ち出したことで、ダイエット、健康志向の朝食や間食としての新しい需要を生み始めたようだ。
野菜飲料の好調で営業利益は倍増
11月2日、カゴメが発表した2016年12月期の第3四半期決算は、売上が1509億円と前年同期比4%増、営業利益は83億円と同約2倍に拡大した。
収益の拡大を牽引しているのは国内飲料事業だ。売上の約40%を占める国内飲料部門の売上は603億円と8%増え、同部門の営業利益は35億円と81%増えた。先に述べた機能性表示食品として発売したトマトジュースに加え、既存の「野菜生活100」の進化形として発売した「野菜生活100 ピール&ハーブ/スムージー」が好調なためだ。
カゴメは7月の業績の中間発表時に、今12月期の営業利益予想を70億円から92億円に31%上方修正していた。今回は通期予想の再上方修正は見送ったが、第3四半期までの営業利益の実績はすでに通期予想に対し90%の進捗率であり、再び上方修正する可能性も十分に考えられる。
カゴメのより「独自性の高い戦略」を期待
新製品、好業績を受けて株価も堅調だ。2016年12月21日には2922円と6月10日に付けた年初来高値に顔合わせした。年初来では38%の上昇だ。
11月には、2007年来、資本・業務の提携をしてきたアサヒグループホールディングス <2502> との資本提携の解消を発表した。背景には両社の提携によるシナジー効果が限定的であること、アサヒは海外投資をM&Aにて拡大する路線であることが挙げられる。
アサヒとの業務提携は続けるものの、カゴメは今後より独自性の高い戦略を打ち出してくることも考えられる。筆者は同社の課題として、健康食品へのさらなる傾斜、農業分野の拡大、国際化に注目しているが、今後の成長を楽しみに見守りたい。(ZUU online 編集部)