米最大規模のスーパーマーケット・チェーン、ウォルマートが、食品の安全管理におけるブロックチェーンの利用をテスト中であることが、ウォールストリート・ジャーナル紙を含む欧米メディアの報道から明らかになった。

来年は多くの小売・製造業者が同様の実験に乗りだすと期待されており、総額500万ドル(約5億8815万円)がブロックチェーンに投じられると見こまれている。

米国病管理予防センター「年間推定4800万人が食品から感染」

ウォルマートがすでにIBMの「Hyperledger」を利用し、いくつかのブロックチェーン実験に取り組んでいたことは各メディアに報じられていたが、正式な発表が行われたのは今回が初めてだという。

ウォルマートは今年10月北京に、「ウォルマート・フード・セーフティー・コラボレーション・センター」を設立。IBM、清華大学と提携により、密輸の相次ぐ中国で流通している豚肉の生産・流通経路を記録する目的で、ブロックチェーン・システムの開発に着手していた。

来年上旬今回の実験ではブロックチェーンのデータベースを用いて、リンゴとブロッコリーの生産地と流通経路を記録、追跡する。こうした実験を成功させることにより、食品の安全管理を劇的に向上させることが可能になると同時に、大幅なコスト削減も狙えるというわけだ。

米国病管理予防センターのデータによると、米国における食物媒介感染症の調査は年間1000件を上回る。毎年推定4800万人がなんらかの病原体に感染しており、そのうち12万8000人が病院で治療を受け、3000人が死亡に至っていると見積もられている。

透明性が高くリアルタイムで追跡可能なブロックチェーン・システムが、事態解明に役立つことはいうまでもない。

またほかの小売業者が同様のシステム開発に乗りだす可能性も、大いに期待できる。ウォールストリート・ジャーナル紙は今月にはいり、「小売・製造業者の42%が追跡システムのブロックチェーン化を検討している」と報じ、総額500万ドルの投資を見こんでいる。( FinTech online編集部

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