医療,遺伝子療法,難病
(写真=Thinkstock/Getty Images)

2017年は最新医療技術を利用した遺伝子療法への注目が、遺伝子療法先進地域である欧米を中心に、世界中でさらに高まりそうだ。

様々な分野での研究開発が急速に発展している遺伝子治療だが、コスト面や安全性、効果性、承認問題などが足かせとなり、現時点では遺伝子治療を受けられる患者数が限定されている。今後数々の臨床実験の成功例から遺伝子治療への承認件数が増えていけば、より多くの企業を遺伝子療産業に誘致し、コスト面の引きさげも期待できるだろう。

高額な治療費が治療の普及をさまたげる

「夢の治療法」といわれる遺伝子治療は、機能不全の原因となっている細胞を修復することで、遺伝子レベルから様々な病気に働きかける最先端の医療技術だ。1990年、世界初の遺伝子治療による免疫不全症の臨床実験が成功したが、その後白血病の併発といった副作用が米国やフランスで問題となり、改良への研究が重ねられていた。

近年になり、米国でがん細胞を消滅させる遺伝子治療が相次いで成功するなど、急激に活発化。研究開発分野は従来のパーキンソン病、アルツハイマー廟といった脳・神経系統、AIDS、白血病を含むリンパ球・血液の疾患から、これまで不可能とされていた網膜の視細胞修復による視力回復、遺伝子の書き換えまで、多様な範囲に広がりを見せている。

医学界の一大革命となりうる可能性を秘めていることは間違いないが、安全性や効果性の確立といった障害のほかに、コスト面での壁が立ちはだかっている。一例を挙げると、英大手製薬会社、グラクソ・スミスクライン(GSK)が、世界初の重度免疫不全症、ADA-SCIDの遺伝子治療法「ストリムベリス」の販売権を欧州で取得した。しかし治療費は66万5000ドル(約7812万円)と非常に高額だ。

1度の治療で完治するという謳い文句と、5年間の代金返済が保証されているとはいえ、「それならば試してみよう」といえるのはほんの一握りの層だろう。研究開発の実用化が進むにあたり、利益創出に重点を置く企業がでてきても不思議ではない。

マサチューセッツ工科大学が発行するMITテクノロジー・レビュー誌は昨年7月、遺伝性の脳疾患で命を落とした子どもの記事を掲載した。病気の発見が遅れ、遺伝子治療のタイミングを逃したことで生じたこの不幸な出来事は、遺伝子治療を望んでいるにも関わらず手遅れになったケースの氷山の一角であるという。

研究機関、企業ともに、少しでも多くの人々が希望を持てるような取り組みの成果を見せてくれることを期待しよう。(ZUU online 編集部)

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