ドル円予想レンジ 114.00- - 118.60
「I will be having a general news conference on JANUARY ELEVENTH in N.Y.C. Thank you.(1/11にニューヨークで記者会見を開きます)」-。これは1/3にトランプ次期米大統領が自身のツイッター投稿で表明した内容だ。大統領選後に公の場での記者会見は初めてとなる。
3つのカードに揺れる新春トランプ占い
1/11のトランプ会見に筆者が警戒しているのは、3枚のジョーカーだ。1枚目はBroad(FRB)ドルインデックスを見る限り明らかなドル高進行であるが、米国への資金流入と米経済の改善・成長の結果としてのドル高なら“黙認”するのか、と言う点である。
歴代政権が“強いドルは国益に叶う”とした建前を掲げてきた一方で、“通貨高”としたドル高デメリットに苦しめられてきたのも事実だ。特に1/4の米サプライマネジメント協会(ISM)発表の12月製造業景況感指数は4カ月連続上昇。トランプ氏が製造業を慮る理由が後退しているなかで、選挙期間中の発言との整合性が問われよう。
2枚目は減税施策に対する具体的見解である。1/5の英経済紙は一面で「Fed officials think Trump tax cuts could lead to higher rates(FRBはトランプ減税が高金利に繋がると考えている)」と掲載。
FRBが1/4公表した昨年12月FOMC議事要旨では、次期政権の財政刺激策に伴って経済成長が加速し得るとし、利上げペースが速まるとの見方が示されている。しかし、夢想な減税策や拡張的な財政政策は議会共和党との現実的な実効性も探られ、ドルの上下ブレに直結する可能性となろう。
3枚目は中国を“為替操作国”として認定するなど脅威論を軸とした強硬的な政治カードをちらつかせるのか、である。貿易摩擦での対立は報復措置にも繋がりかねず、米国の輸出が抑制されれば米経済への不安が増すとしてドル高抑制を想起させる。1枚目のジョーカーにリンクして29カ月連続黒字が見込まれる1/12公表の本邦11月経常収支から、“とばっちりの円高”も留意しておきたい。
1/9週のドル円上値焦点は1/7高値117.445、1/4高値118.20。超えれば昨年12/15と1/13高値圏となる118.61-68が視野。下値焦点は115円維持、昨年12/13-14安値圏114.76-77。割れると月足ボリンジャーバンド中心線114.10、12/9安値114.00維持が意識される。維持失敗と11/9安値101.18から118.68高値迄の“トランプラリー”終焉としてフィボナッチ38.2% 押し112.186が最大リスクとして推考される。
武部力也
岡三オンライン証券
投資情報部長兼シニアストラテジスト