2017年は大手銀行にとって、解決すべき課題が山積みの一年となりそうだ。米財務省通貨監督庁(OCC)は最新のレポートの中で、規制強化や負債額増加、世界情勢の目まぐるしい変化などに加え、FinTechの脅威を今後のリスク要因のひとつとして挙げている。

そのほか英ナショナル・サイバー・マネージメント・センター(NCMC)は、銀行および金融機関を狙ったサイバー攻撃がさらに激化する可能性に警戒を呼びかけている。

銀行にとって生存をかけた1年となるか?

OCCは1月5日、米銀行および貯蓄金融機関の潜在的リスクを検証したレポートを発表。共存路線でいくかと思われた「FinTechの脅威」を再浮上させた。OCCは銀行が新たなテクノロジー導入の圧力下にあることへの認識を示したうえで、システム改革には「戦略的計画が必須となる」との警告を発している。

しかし「進化し続ける消費者からの需要の対応をおこたれば、企業存続に関わる結果となりかねない」と、FinTech化における競争力強化の重要性を改めて指摘した。

一方英BBCはサイバー・セキュリティーが今年の重要課題になると予測。その中でNCMCのリチャード・べハム会長は「サイバー攻撃が信用が崩壊させ、大手銀行が失脚することになるだろう」と予言している。

銀行を狙ったサイバー攻撃は近年急増しており、被害規模も巨大化している。2015年以降だけでもバングラデシュ中央銀行(被害総額810万ドル(約9億5029万円)、ロシア中央銀行3100万ドル(約36億3599万円)などの大型ハッキング事件が相次いで起こった。

英国では11月、テスコ銀行の9000件の顧客口座から総額250万ポンド(約3億5736万円)が被害にあい、一大パニックとなった。しかしこうした大きな事件は、無数に拡散する小規模なハッキング被害の氷山の一角だといわれている。

英中央情報局が42万ポンド(約5997万円)を投じてサイバーセキュリティー部門の人員増加などにあたっていることなどが、英FinTech情報サイト「Finextra」で報じられているが、銀行側の強化姿勢も非常に重要なカギをにぎっていることはいうまでもない。銀行にとっては多方面での対策に追われる年となるだろう。( FinTech online編集部

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