お金の教育,富裕層マネー
(写真=Thinkstock/Getty Images)

何のためにお金を殖やすのか、ということを考えてみると、「お金」や「お金持ち」そのものに対するイメージも、だいぶ変わるのではないでしょうか。つねに10年や20年先に思いを馳せ、地に足のついた考え方をしていれば、お金儲けが何かうしろめたいことであるとは思わなくなるでしょう。よしんば、今の自分からは想像もつかないくらいのお金を手にしても、決して「成金趣味になって、浪費するような人」にはならないはずです。

「お金持ちはずるい」「お金持ちは汚い」の間違ったイメージ

とくに、投資でお金を殖やす、というと、どこか怪しげな錬金術のように思われている節があります。「勤勉」がよしとされる日本では、投資で儲ける人は「自分の手を動かさずにお金を得る=怪しい」という印象が、いまだに根強いのではないでしょうか。「投資で儲けた人」として、高級クラブで遊びまくったり、高級車をずらりと並べたりする人が取りざたされるのも、日本人の意識の根底に、「お金持ちはずるい」「お金持ちは汚い」というイメージがあるせいに思えてなりません。

これは、大きな誤解です。お金の教養を身につけてお金持ちになって、明日からの生活を心配しなくてもよいような人生を目指すことに、本当の価値があるのです。つまり本書は、ただお金儲けをするだけでなく、お金の教養を持って「幸せなお金持ち」になるための本です。そういう目的がある以上、よからぬお金持ちのイメージを持ったまま投資を始めてほしくはありません。

たしかに、ギラギラと欲望に満ちた目で投資をして、そこで儲けたお金で豪遊する人もいます。でも、それは、にわか仕込みのお金のハウツーはあっても、お金の教養には乏しい、ほんのひとにぎりの人々です。

本当のお金持ち、お金の教養のある「幸せなお金持ち」は、彼らとはまったく異なります。貧しい出自でありながら、深い教養と鋭い才覚を持って桁違ちがいのお金持ちとなり、それでいて我欲にまみれず、周囲も豊かにしながら、大邸宅で悠々自適に暮らしている。たとえば、著名な投資家のジム・ロジャーズは現在、シンガポールのジム付きの豪邸で毎朝運動し、プールサイドでゆっくり過ごしているのです。

こんな、理想に理想を重ねたような人々こそ、もっと知られてほしいものです。お金の教養を身につける一環として、こうした本当のお金持ちについて読んでみるのもいいでしょう。どんな幼少期を過ごしたのか、いかに頭角を現し、巨大な財を成すに至ったのか……。彼らの立志伝を知るだけで、「投資家マインド」や「幸せなお金持ちマインド」が育つといってしまってもいいくらいです。次に、私がおすすめしたい人物を10人ほどあげておきます。このうち2〜3冊でも、ぜひ読んでみてください。

親が学んで子どもたちに教えてほしい10人とその関連書籍

  1. ジム・ロジャーズ 『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(プレジデント社) 『人生と投資で成功するために 娘に贈る13の言葉』(日本経済新聞出版社)
  2. ジョージ・ソロス 『ソロスの警告』(徳間書店) 『ソロスの錬金術』(総合法令出版)
  3. ウォーレン・バフェット 『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』(桑原晃弥、PHPビジネス新書) 『株で富を築くバフェットの法則[最新版]』(ロバート・G・ハグストローム、ダイヤモンド社)
  4. エマニュエル・トッド 『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』(文春新書) 『トッド 自身を語る』(藤原書店)
  5. ビル・エモット 『世界潮流の読み方』(PHP新書) 『変わる世界、立ち遅れる日本』(PHP新書)
  6. ピーター・タスカ 『日本の選択』(ビル・エモットとの共著、講談社インターナショナル) 『JAPAN2020 不機嫌な時代』(講談社)
  7. 浜田宏一 『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社) 『リフレが日本経済を復活させる』(共編著、中央経済社)
  8. 邱永漢 『賢者は中金持ちをめざす』(実業之日本社) 『私の株式投資必勝法』(実業之日本社)
  9. 嶋中雄二 『これから日本は4つの景気循環がすべて重なる・ゴールデン・サイクルⅡ』(東洋経済新報社) 『先読み! 景気循環入門』(共編著、日本経済新聞出版社)
  10. 堺屋太一 『東大講義録 文明を解く』(講談社) 『知価革命』(PHP文庫)

着実に成功する3ステップとは?

第一ステップ 「偉人伝」を読むこと

投資の初心者に、まず読んでほしいものが二つあります。第一ステップは「偉人伝」、第二ステップは「情報誌」です。この二つが、投資で成功するための最初の2ステップとなります。

まず「偉人伝」ですが、前にも列挙したように、世界には投資で成功して巨万の富を築いている人たちがいます。そういう人たちの本を読んで学ぶこと、子どもにも読ませて学ばせることが、親子で豊かになる第一ステップです。

野球少年がイチロー選手に憧れ、サッカー少年が本田選手に憧れ、フィギュアスケーターを目指す子が浅田選手に憧れ、アイドルを目指す子がAKB48に憧れ……すべてにおいて、「憧れ」は何より強い原動力になります。

「憧れの人」に近づこうと一生懸命、練習を積み、みな実力をつけていくのです。

投資は畑違いのように思えるでしょうが、先を走る人を目指すという点では、スポーツや芸能の道を志すのとまったく同じことがいえます。

ウォーレン・バフェット、ジム・ロジャーズ、ジョージ・ソロス……「へえ、こんな人がいるんだ」「わあ、こんなふうになりたいな」……その純粋な憧れが、知識を吸収し、積極的に体験を積むプロセスを加速させてくれるでしょう。

もし、今まで小説ばかり読んできたのなら、これからはその半分くらいは、投資の世界の偉人伝を読む時間にあててみてください。それはおしなべて、実在の人物が、貧しい出自だったり逆境に直面したりしながらも、自分の頭を使って財を成していくという成功譚(成功物語)です。きっと小説と同等か、ひょっとしたら、それ以上の刺激が得られるでしょう。

なかには「読書は苦手」という人もいるかもしれません。知識を得るには「読むこと」が欠かせませんから、いずれはたくさん読むようになってほしいものですが、最初は新聞の短いコラムでもかまいません。その場合は、やはり王道の日経新聞の「私の履歴書」がおすすめです。いろいろな分野の人が登場しますが、お金の教養をつけるのなら、やはり財界人のものを読みましょう。

私も、書籍化された「私の履歴書」の財界編は、最低3回は通して読んだと記憶しています。日本人にも尊敬に値する財界人は多く、投資を生業にしていてもなお、大いに学ばせてもらいました。たとえば、出光興産の創業者、出光佐三。最近ベストセラーになった本『海賊とよばれた男』(百田尚樹、講談社)の主人公のモデルですが、私は早くから、素晴らしい人物、世界に誇れる日本人として尊敬していました。

琴線に触れる部分は人それぞれでしょうから、なるべく多くの人物を知ってください。そこでつねに意識してほしいのは、「いかに成功したか」の根底にある彼らの考え方や感じ方、志の持ち方です。それこそが、幸せなお金持ちのマインドであり、お金を得たすえに転落人生を歩んでしまう人とは、大きく違うところなのです。そして、自分が憧れを抱いた人について、子どもにも話して聞かせてあげてください。

子どもが読む伝記といえば、今でもエジソンやナイチンゲール、キュリー夫人などと相場が決まっているのでしょうが、私はそこに、バフェットやロジャーズ、ソロスの本を加えるべきではないかと思っています。

『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』PHP研究所(2016/3/19)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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第二ステップ 「情報誌」で金融商品を知ろう

さて、次に触れてほしい「情報誌」は、ぐんと投資のハウツーに近くなります。『ダイヤモンドZAi』『日経マネー』など、ふんだんにマンガ解説や図版が使われている雑誌を開き、いろいろな金融商品の情報に触れてみてください。

素人が、いきなり投資を始めるのは勇気がいりますし、リスクも高くなります。まず初心者向けの雑誌を読むことで、少なくとも投資に対する心理的なハードルはぐんと低くなるでしょう。ただし、一つだけ気をつけていただきたいことがあります。決して、これらの雑誌の情報だけを信じた投資をしないでください。

雑誌は、あくまでも投資の世界の用語や情報に触れ、慣れ親しむためのもの、いわば投資の最低限の知識の入り口にすぎないのだと心得ておくことです。

世の中にはどんな金融商品があるのか。今までは、銀行預金という「きわめて利回りの低い金融商品」しか知らなかった頭に、「へえ、こういうことなんだ」「こういうものもあるんだ」「こういうやり方もあるんだ」という知識を、たっぷり送り込む。ここまでに止めてください。なぜかといえば単純な話で、金融雑誌に載っているマーケットの予測は、あまりアテにならないからです。あくまでも自分の頭で考えることが大事です。

あとでお話しするように、本当に成功できる投資のハウツーは、ほかにあります。雑誌の情報に触れるのは、そのハウツーを実践していくための「頭の足慣らし」だと考えてください。

第三ステップ インスピレーションを磨こう

第一ステップでは、憧れを抱くために「人」を知り、第二ステップでは投資の世界に親しむために「金融商品」を知りました。これに続く第三ステップは、ちょっとハードルが上がります。

投資で成功するには、銘柄情報はもちろんのこと、マーケットについても知らなくてはなりません。市場、マーケット、相場……どんな呼び方でもいいのですが、要するに、今後、どういう銘柄が伸びそうかを読み取り、適時に的確な投資をする嗅覚を磨くということです。

どんな金融商品を買うにしても、最終的にはマーケットを読むというセンスがなくては、投資で成功することはできません。

では、どうしたら、マーケットを読むセンスを磨くことができるのでしょう。それには、一にも二にも経験を積むしかありません。今までのステップは、人を知り、商品を知りと、「知識」を得る段階でしたが、第三ステップからは明確に、「実体験」へと足を踏み入れることになるわけです。いよいよ自分のお金を何かに投資し、「殖やす」という試みが始まるのです。

前にもお伝えしたとおり、投資とは、とにかく「知識」と「経験」を積み重ねていくことでしか上達できない世界です。投資の初心者が、大怪我をしないために覚えておくべきルールやプロセスはあります。

それは次章で順を追って説明しますが、その先はあくまでも個々の感覚に従い、自分の体験によってノウハウを積み重ねていくことが、じつは一番の成功法則なのです。

経験を積むと次第にセンスが磨かれ、やがて、あるときからインスピレーションが働くようになっていきます。周囲でささやかれる情報よりも、自分のインスピレーションにしたがって投資する。これが第四ステップ……投資で成功する最終ステップです。

これくらい上級になると、「ロジカルな理由はないのにピンときた投資をしたら、そのあと急伸した」といったことも起こるようになります。何も私のように、投資を生業としている者だけの話ではありません。

たとえば、ちょうど先日も「普通の主婦です」という方に会いましたが、その方は10年ほど前から投資を勉強し始め、今ではデイトレーダーとして、毎日まとまったお金を稼いでいるとおっしゃっていました。

その方とて、最初から特別な投資のセンスがあったわけではありません。若いころに、ひょんなことで手にした遺産を投資に使ってみたものの大損をしてしまい、そこから猛烈にあらゆる投資家やバンカーの本を読み、経験を積んだそうです。

まず失敗から経験してしまったとはいえ、そこから、まさに今までお話ししてきたのと同じステップ……投資の世界の人物を知り、情報に触れ、経験を積み重ねるというステップを着実に経たわけですね。

そして今では、「情報より自分のインスピレーションに頼っている」といえるほどに、投資家として成長したのです。こういう話を聞くと、「だったら、自分にもできるかも」と思えてきませんか。

まず知識を集め、そして実際にやってみることが大切です。決して最初から大きく儲けようとせず、練習をするつもりで少額から始めます。

損をすることもあるかもしれませんが、投資のトレーニング中の損は、決して「無駄」にはなりません。その経験は必ずや、自分なりのハウツーや、マーケットを読むセンスへと昇華することでしょう。

投資を始めたとたんに大金持ちになれる、というような妄想は捨て、初期の損は覚悟のうえで投資を始めてください。ですので、最初は少額から始めましょう。つまり、はじめはレッスン料を払うつもりでいるくらいがちょうどいいのです。儲けを焦らず、たとえ損をしても腹を立てずに、じわじわと「実践経験」を積んだすえに、「投資のインスピレーション」という最大の財産を手にする日が待っています。

菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。

※本記事は、菅下清廣氏の著書『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』(PHP研究所)の中から一部を抜粋・編集しています。

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