何のためにお金を殖やすのか、ということを考えてみると、「お金」や「お金持ち」そのものに対するイメージも、だいぶ変わるのではないでしょうか。つねに10年や20年先に思いを馳せ、地に足のついた考え方をしていれば、お金儲けが何かうしろめたいことであるとは思わなくなるでしょう。よしんば、今の自分からは想像もつかないくらいのお金を手にしても、決して「成金趣味になって、浪費するような人」にはならないはずです。

「お金持ちはずるい」「お金持ちは汚い」の間違ったイメージ

とくに、投資でお金を殖やす、というと、どこか怪しげな錬金術のように思われている節があります。「勤勉」がよしとされる日本では、投資で儲ける人は「自分の手を動かさずにお金を得る=怪しい」という印象が、いまだに根強いのではないでしょうか。「投資で儲けた人」として、高級クラブで遊びまくったり、高級車をずらりと並べたりする人が取りざたされるのも、日本人の意識の根底に、「お金持ちはずるい」「お金持ちは汚い」というイメージがあるせいに思えてなりません。

これは、大きな誤解です。お金の教養を身につけてお金持ちになって、明日からの生活を心配しなくてもよいような人生を目指すことに、本当の価値があるのです。つまり本書は、ただお金儲けをするだけでなく、お金の教養を持って「幸せなお金持ち」になるための本です。そういう目的がある以上、よからぬお金持ちのイメージを持ったまま投資を始めてほしくはありません。

たしかに、ギラギラと欲望に満ちた目で投資をして、そこで儲けたお金で豪遊する人もいます。でも、それは、にわか仕込みのお金のハウツーはあっても、お金の教養には乏しい、ほんのひとにぎりの人々です。

本当のお金持ち、お金の教養のある「幸せなお金持ち」は、彼らとはまったく異なります。貧しい出自でありながら、深い教養と鋭い才覚を持って桁違ちがいのお金持ちとなり、それでいて我欲にまみれず、周囲も豊かにしながら、大邸宅で悠々自適に暮らしている。たとえば、著名な投資家のジム・ロジャーズは現在、シンガポールのジム付きの豪邸で毎朝運動し、プールサイドでゆっくり過ごしているのです。

こんな、理想に理想を重ねたような人々こそ、もっと知られてほしいものです。お金の教養を身につける一環として、こうした本当のお金持ちについて読んでみるのもいいでしょう。どんな幼少期を過ごしたのか、いかに頭角を現し、巨大な財を成すに至ったのか……。彼らの立志伝を知るだけで、「投資家マインド」や「幸せなお金持ちマインド」が育つといってしまってもいいくらいです。次に、私がおすすめしたい人物を10人ほどあげておきます。このうち2〜3冊でも、ぜひ読んでみてください。

親が学んで子どもたちに教えてほしい10人とその関連書籍