楽天が1月11日、欧州における商業銀行業務の本格始動を発表し、欧州メディアの注目を集めている。

楽天はルクセンブルクを拠点にRakuten Europe BanKとして、eコマース企業向け決済、預金および融資サービスの提供を欧州地域に拡大させる戦略を打ちだしている。FinTechベンチャー企業を含む欧州企業との提携関係も、今後より積極的に発展させていく構えだ。

欧州市場は仏、独に専念 スタートアップへの支援も積極的

「ルクセンブルク・フォー・ファイナンス」などの報道によると、まずはフランスで運営するeコマースサイト「PriceMinister」に加盟する中小事業者にサービスを開始する。ドイツ版である「Rakuten.de」向けサービスも検討中だ。

楽天は2008年にルクセンブルクで欧州事業の統括を行う子会社、Rakuten Europeを設立。2015年には銀行業営業ライセンスを取得した。欧州メディアは「日本の巨大eコマース兼FinTech企業」による欧州市場本格参入に、多大な関心を示している。

その背景には欧州でのネット通販業務の失敗があるものかと思われる。日本ではネット通販市場でも絶対的な地位を確立している楽天だが、海外では台湾などごく一部の地域をのぞき業績がふるわなかった。昨年は東南アジア4カ国、英国を含む欧州3カ国から撤退している。

海外進出再編にあたり、欧州地域の成長株としてフランス、ドイツの市場への投資に専念する意向を示していたが、今回の銀行業務の本格市始動を機に、金融分野とeコマース分野に多角的に攻めこむ戦略がうかがわれる。

楽天のFinTech産業への参入は目覚ましい勢いが見られ、昨年8月にはベルファストにブロックチェーン・ラボを開設する計画を発表。欧米FinTechスタートアップの支援にも積極的で、2015年に1億ドル(約114億1700万円)を投じて「Rakuten FinTech Fund」を設立。英オンライン国際送金スタートアップ、Azimoが1500万ドル(約17億1255万円)の資金を獲得したのを筆頭に、Currency Cloud、Payoneer、BlueVineなど数々の欧米スタートアップが、楽天の資金調達ラウンドの恩恵をうけている。( FinTech online編集部

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