2017年1月、ドル円レートは急きょ下落し、年末年始にかけて118円台をつけていたレートは現在114円前後を推移している。

ドル円が下落した理由については各所で解説記事が掲載されていると思われるので、今回は視点を変えて「なぜ上昇が続いた後、急な下落」が発生するのかという点について今回は解説していきたい。

「市場価格=実際の価値」ではない

こういった急落を理解するうえで知っておかなければならないのは「市場で売買されている価格」というのはイコール「実際の価値」ではない、ということだ。

おそらく株式やFXなど、日々値動きする金融商品の売買をするものに触れたことがあれば、「投機マネー」という言葉を聞いたことがあるだろう。

投機マネーとは実際の投資・実需などによる売買ではなく、価格が将来「こうなるだろう」という思惑のみで売買される。これが急な価格変動を引き起こす要因だ。

例えば昨日まで「ドル円は120円になる」と考え、世界中の投機家がドル円ロング(買い注文)をいれていたとする。その後、なんらかのアクション(今回の場合トランプ氏が会見で金融政策などについて言及しなかったのが原因)により「この額になるという期待」がしぼんだとする。そうすると120円を目指してロングされていたものが一気に売却され、急な下落が発生するといったあんばいだ。

この「期待によって市場価格は決まる」というのがこういった思惑による売買と急下落が発生する要因だ。

投機マネーは「悪」か?