投信,ファンド・オブ・ザ・イヤー
(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

金融商品の評価において、販売とあっせんを行う「金融のプロ」と消費者である「個人」の間で評価の違いが広がる中、投資においてすぐれたパフォーマンスを残すトレーダーやブロガーといった「個人」が評価・集計し、評価を行うランキングが注目を集めている。

今回は「顧客本位の金融商品販売」を目指している森信親氏(金融庁長官)も激励のコメントを寄せた「ファンド・オブ・ザ・イヤー2016」にランクインした商品を解説し、その傾向を分析したい。

ファンド・オブ・ザ・イヤーとは

ランキングおよび商品に触れる前に、この「ファンド・オブ・ザ・イヤー」がどういったものかという点に触れたい。

「ファンド・オブ・ザ・イヤー」とは一年に1度、本年で「評価が高いと判断できる」ファンド(投資信託)に投票・集計された結果を発表しているイベントであり、毎年多くの個人投資家が押し掛ける人気イベントだ。

筆頭できる点としては投票者が「販売側」ではなくいわゆる「購入側」であるという点で、資産運用においてブログを記載しつつ会社員・専業トレーダーを行っている「個人」が評価をしているという点だ。

これにより冒頭にあった「販売側と購入側のズレ」が発生せず、本当の意味で平等かつ適切に評価されているということで人気を博している。

上位3つの投資信託と分析

今回のファンド・オブ・ザ・イヤーで上位3位にランクインした投資信託は以下となる。

1位:ニッセイ外国株式インデックスファンド/ニッセイ
2位:たわらノーロード先進国株式/アセットマネジメントOne
3位:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF/バンガード

順番に内容をみていこう。

1位の「ニッセイ外国株式インデックスファンド」であるが、これは日本を除く先進国に投資を行うファンドだ。

主に日本株「以外」に投資したい方向けに販売される商品で、MSCIコクサイ・インデックスと呼ばれる22カ国におよぶ先進国の上場企業群で構成される指標の価格上下落に一致する動きをするように設計されている(これをインデックスファンドと呼ぶ)。

運用商品としての特徴は何と言っても「リスクの低さ」だ。先進国22カ国に分散して投資しているという性質上、世界規模の金融危機など株式市場全体が下落するようなイベントリーが発生しない限り大きな下落が発生する可能性は低い。また日本株以外の先進国にて構成されているため「日本以外にリスク分散」を行うことができる。

またこのファンドで注目を集めるのが購入および換金時に手数料がかからないという「運用コストの安さ」だ。この購入および換金時にかかる手数料というのは販売会社の利益に直結しており、「金融機関が選ぶお勧め商品」ではこの部分が高くなる傾向が高い。

参考までによく高利回りを理由として銀行・証券会社窓口で勧められるハイイールド債権ファンドの一つ「三井住友・米国ハイ・イールド債券ファンド(為替ノーヘッジ型)」の場合、1000万円未満の購入だと購入手数料が「3.24%」と高額だ。この時点で運用リターンにはかなりの開きが出る。

次に「たわらノーロード先進国株式」だ。こちらも1位のファンドと同じくMSCI指数に連動するファンドで、リスク分散を行いつつ国際投資ができる。

また「ノーロード」と呼ばれる販売手数料がかからないファンドというところも共通しており、実質的に「1位および2位投票者は同じ需要商品を求めていた」ということがわかる。おそらく投票差異は「商品のマーケティング戦略からくる知名度の違い」だけで大きな差はなかったと思われる。

最後に3位の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」であるが、これは「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」と呼ばれる47か国の先進国・新興国のおよそ7400銘柄から構成される指数に直接投資を行うファンドだ。

ETFという性質上運用コストが低く、適切に国際分散投資を行える。また1位・2位銘柄と違い日本も含まれているため、「国際分散投資」をしたい場合これ一つで運用をまかなうことができる。

また信託報酬が0.14%と低いのも特色で、同種のETFでも平均信託報酬は約0.33%、高いものだと0.6%にも及ぶ。

そういった低コスト運営が「海外商品」というマイナス要素を打ち消して上位ランクインした要因だと思われる。

求められているのは「リスク分散」と「運用コスト」の削減

上述より、販売・運営利益が欲しい販売会社側ではなく投資家側からの視点で見た場合、「リスク分散と低コスト」というのが重要な選択要因であることが見えてくる。

分散されている金融商品というのはその性質上、短期間で大きな損益が発生しにくく、販売会社の営業員が行っている「短期間の回転売買」による手数料徴収が難しい商品であるため、なかなか勧められないというのが現実にある。

また営業員意思が介在しない窓口販売であっても銀行収益などは投資信託販売による手数料で賄っているという銀行も多く、「顧客の意向」と「徴収できるであろう手数料」を天秤にかけてしまい、どうしても上記のような低コスト商品は勧めにくいという現実がある。

これらを踏まえたうえで「販売側」の意向と「実際に投資している側」の意向の差異を理解し、今後投資信託を検討する場合の判断材料の一つとして役立てていただければ幸いだ。

土居 亮規 AFP バタフライファイナンシャルパートナーズ

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