結果の概要:住宅着工件数は予想を上回る増加

1月19日、米国センサス局は12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は122.6万件(前月改定値:110.2万件)と、109.0万件から上方修正された前月改定値から増加、市場予想の118.8万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も上回った(図表1、図表3)。

住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、121.0万件(前月改定値:121.2万件)と、こちらは120.1万件から上方修正された前月改定値からは小幅に減少、市場予想の122.5万件も下回った(図表2、図表5)。

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結果の評価:10-12月期のGDP統計で、住宅投資は3期ぶりのプラスに転じる見通し

12月住宅着工件数の伸びは、前月比+11.3%(前月:▲16.5%)と2桁の落ち込みとなった前月から改善、前年同月比でも+5.7%(前月:▲5.9%)とプラスに転じた(図表3)。

また、住宅着工件数(前月比)を戸建てと集合住宅に分けてみると、戸建てが▲4.0%(前月:▲4.6%)と2ヵ月連続でマイナスとなる一方、集合住宅が+57.3%(前月:▲39.4%)と大幅なプラスに転じた。

一方、住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度は、南部こそ▲0.7%ポイント(前月:▲3.0%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなったものの、それ以外では、北東部+1.4%ポイント(前月:▲6.1%ポイント)、中西部+4.9%ポイント(前月:▲1.8%ポイント)、西部+5.7%ポイント(前月:▲5.7%ポイント)と全てプラス寄与となった(図表4)。

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住宅着工の先行指標である住宅着工許可件数は、12月の前月比が▲0.2%(前月:▲3.8%)と2ヵ月連続でマイナスとなった一方、前年同月比では+0.7%(前月:▲5.8%)とプラスを維持した(図表5)。

住宅着工許可件数(前月比)を戸建て、集合住宅でみると、戸建ては+4.7%(前月:+0.8%)と5ヵ月連続のプラスとなったものの、集合住宅は▲9.0%(前月:▲11.1%)と2ヵ月連続のマイナスとなった(図表6)。

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10-12月期の住宅着工件数(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比)は、+27.4%(7-9月期:▲5.0%)となった(図表7)。この結果、GDPにおける住宅投資は、4-6月期から2期連続のマイナスとなっていたが、漸く3期ぶりにプラスに転じる可能性が濃厚となった。

もっとも、昨年11月の大統領選以降長期金利は大幅に上昇しており、今後も早いペースで長期金利の上昇が持続する場合には、住宅市場の回復に水を指される可能性があり注目される。

窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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