Alternative
(写真=Zurainy Zain/Shutterstock.com)

オルタナティブは「代替可能な」という意味であり、オルタナティブ投資とは株式や債券といった伝統的な資産運用ではなく、それ以外の新しい投資方法で収益を狙うことである。とは言っても、一般的ではない分、イメージが湧きにくいかもしれない。以下でそれぞれの投資手法について簡単に見ていこう。

それぞれの投資方法を解説

1.ヘッジファンド
機関投資家や富裕層等から集めた資金を運用する。通常の株式や為替の売買はもちろん、デリバティブや空売りを含めたさまざまな手法で運用するファンドを意味する。市場の平均点であるベンチマークをいかに超えるかを競い合うアクティブ運用型の投資信託とは異なり、どんな状況でも収益を狙う絶対収益追求が特徴だ。

運用担当者は資産配分や投資戦略、売買のタイミングを一任されている。運用の内容に関わらず管理料として資産残高の2%、これに加えて運用がうまくいった際の成功報酬として資産増加の20%を支払うのが伝統的な手数料体系であったが、近年はインデックス運用の機運の高まりや、ヘッジファンドの低調なパフォーマンスも相まって、手数料は引き下げの傾向にある。

2.プライベート・エクイティ
プライベート・エクイティとは、一般的に未上場企業の株式を指す。また、未上場企業の株式を取得し、企業価値を上げて他の事業会社に売却したり、株式上場をして株式市場で売却したりする投資手法をプライベート・エクイティ投資と呼ぶ。上場企業に対しても、会社の経営陣自らが自社株式や一事業部門を買収するMBOや、市場外で株式の買い付けを行うTOBを通じて非上場化することで、プライベート・エクイティ投資を行う場合がある。いわゆるベンチャーキャピタルや事業再生系ファンドもここに分類される。

3.コモディティ(商品)
コモディティとは「商品」を意味する。コモディティ投資とは、商品先物市場で取引されている原油などのエネルギー、金や銀・プラチナなどの貴金属、トウモロコシや大豆などの穀物などに投資することを指す。リーマンショックとも呼ばれた2008年前後の世界同時金融危機の株安局面においても、金などの商品価格は相対的に高かったことから、分散投資先として注目されている。

4.現物不動産
上記に比べれば比較的親近感のある現物不動産投資も、オルタナティブ投資のひとつである。

オルタナティブ投資のメリット

オルタナティブ投資のメリットとして一つ目に、一般の投資家が直接投資できないものに対して投資することができることが挙げられる。例えばベンチャーキャピタルや再生系ファンド、ヘッジファンド、不動産ファンドに対して間接的に投資することができる。

二つ目に、市場が低迷していても収益を獲得できる可能性があることが挙げられる。伝統的投資手法ではリターンを見込みにくいリスクオフの局面であっても、空売りやオプション取引を駆使して「絶対収益」を追求する。また、基本的に運用者は、運用成績によって報酬が増減する成功報酬体系を取っているので、リターンを伸ばすインセンティブが働く。

オルタナティブ投資のデメリット

デメリットは、大抵の場合なじみのないスキームによって構築され、運用方法も一般的な投資手法に比べて複雑であることである。また投資回収に時間がかかる場合や、コストが一般的な投資手法よりも高くなることが多い。

そのほかに、オルタナティブ投資は投資家から見て複雑な商品であるがゆえに、収益構造が分かりにくいという点もある。その見極めをした上で、投資をした方がよいだろう。また基本的に、オルタナティブ投資は大きな金額の元手が必要である。

オルタナティブ投資に向いている人はどのような人?

市場の動向に関係なく絶対的なリターンを狙っている人、または長期的な投資を考えている人、もしくは分散投資を行ってリスク分散を図りたい人が向いている。

通常の株式や債券を保有している人は、リスクヘッジのために、オルタナティブ投資を行うことも検討してみてはどうか。近年は上場株式と債券の投資だけでは、分散投資が有効に働かない相場と言われている。世界各国の中央銀行が金融緩和を進めていることで、株高と債券高が同時に起こっているからだろう。

今日ではヘッジファンドに投資できると投資信託も存在する。またヘッジファンド専門の証券会社もある。この機会に、ヘッジファンド投資を検討してみてもよいだろう。(提供: みんなの投資online

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