株主優待,2017年3月
(写真=PIXTA)

株主優待投資を楽しむ投資家の様子がテレビや雑誌で紹介されるようになったせいか、優待ライフを楽しみたいと思っている初心者の方が増えているようだ。

たしかに企業から優待をもらうのは、ちょっとしたプレゼントのような気がしてうれしいものだ。とはいえ、優待投資も株式投資であることに変わりはなく、当然のことながら値動きの影響をうけることで自分の保有株に損失が発生するケースもある。

優待投資の場合には、銘柄ごとに優待内容が決まっているので、もらい方次第で非常にお得になるものが多く存在する。一方で、優待権利落ちと呼ばれる現象による株価下落が付きまとう。

せっかく優待を選ぶのならば、お得かつ損失の少ないものを選びたい。優待投資をする上で、もっとお得に優待を獲得し、できるだけ損をしないためのテクニックをまとめたので、ご参照いただきたい。

株主優待株を家族で分けて買う

株主優待株は、複数人で最低単位分を保有すれば、お得に取得できる。例えば、ある企業の優待が次の例のようにもらえる場合のシミュレーションを行ってみよう。

保有株数 優待内容
100株以上 1000円分の食事券
500株以上 3000円分の食事券

上記のように、保有株数を増やすともらえる優待金額が増える優待株は多い。しかし、保有株数を倍にしたら、優待金額も倍になるというものではない。

もし上記の優待の3000円食事券をもらう場合には、1人で500株買って3000円の券をもらうよりも、家族3人で口座を作って100株ずつ保有して1000円ずつもらった方がお得だ。保有株数は200株少ないのに、3000円相当の食事券をもらえるということになるからだ。

浮いた200株分の資金でほかの優待銘柄を買うことが可能となり、資金効率が上がるのだ。

長期保有でお得度がアップ

株主優待株には、長期で持つとお得になるものが多く存在する。例えば、長期保有優遇でお得になる銘柄の代表格として、まんだらけ <2652> がある。100株保有で通常ならば2000円の商品券をもらえるが、1年以上保有することで5000円の商品券へとグレードアップされる。1年持つだけで利回りが倍以上になるのだ。もし漫画や書籍などを買うのが趣味ならば、長期優遇制度で2.5倍になった優待を使った方が、普通に買うよりもはるかにお得になる。

ほかにもタカラトミー <7867> のように、長期保有で割引率が40%(3年以上保有)までアップするような株も存在する。これは子供がいる家庭なら、大きな節約になるはずだ。

このように、長期で持つことで優待が大きくなる株は存在する。最近では、長期で株を保有してほしい企業が、積極的にこの制度を取り入れ始めている。優待株を買おうと考えている人は、この「長期優遇制度」に着目して選んでみるとより一層お得になるだろう。

時価総額のおおきな株を買う

時価総額とは企業の規模のことで、株式の総数と現在の株価を掛け合わせることで産出される。

トヨタ <7203> の時価総額は22兆5000億円、先ほど紹介したタカラトミーは1166億円、まんだらけは39億円と企業によって大きな幅があるのが特徴だ。

優待株の場合には、時価総額の小さな銘柄が権利落ちの影響を受けやすい。これは優待目当ての個人投資家の資金の割合が大きいことによる。トヨタや大手銀行などの国際優良株と呼ばれる企業は、外国人投資家や機関投資家など優待目当てでない運用資金の割合が大きい。そのため、権利落ちの影響も時価総額の小型の株式より小さい場合が多い。

実際昨年9月の権利落ちの時には、オリックス <8591> 、レオパレス21 <8848> などの時価総額が大きめの企業は、権利落ちがほとんどなかったことが記憶に新しい。

ただ、このような時価総額の大きな銘柄は権利落ちの影響はそれほど受けないが、全体相場や為替の影響を強く受けるということには注意しておこう。

鉄板のクロス取引を利用する

クロス取引とは、現物取引「買い」と信用取引「売り」を同じ銘柄に同時に注文を出すことで「両建て」状態にし、株主優待を取得することをいう。趣旨としては、少しの手数料を支払って、優待を無料で手に入れようというテクニックのことだ。ただで優待を手に入れることができればよいので、多くの場合優待の権利付き最終日直前に両建てをして、権利落ちの日に反対決済をすることになる。

株の値動きによる影響を受けないため、権利落ちしても損失が発生することなく優待を取得できる裏技として、広く投資家の間で話題になるテクニックだ。初心者でも容易に手が出せるものとして紹介されていることも多いが、場合によっては意外な落とし穴がある。

それは信用取引に伴う「逆日歩」と呼ばれる金利が、まれに非常に高くなってしまうことだ(制度信用取引の場合)。信用取引の売りができる銘柄ならば両建てはできるのだが、多くの投資家が信用取引の売りを行った場合、株を借りている状態が超過状態となってしまい、金利が膨れ上がってしまうのだ。1株あたり十数円つくこともあり、1000株以上の信用取引の売りを行ったら、数万円の金利の支払いをしなければならなくなったこともよく話題となる。数千円程度の優待をもらうために、この損は割に合わない。

初心者でも容易に手が出せるものとして紹介されていることも多いが、場合によっては意外な落とし穴がある。もし挑戦するのならば、逆日歩がつかない「一般信用取引」を利用するか、制度信用取引の逆日歩をしっかりと深く学んでから挑戦してほしい。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学を卒業後、証券会社において証券ディーリング業務を経験。ヤフーファイナンスの「投資の達人」においてコラムニストとしても活動。2015年には年間で「ベストパフォーマー賞」「勝率賞」において同時受賞。個人ブログ「 インカムライフ.com 」を運営。著書に『 元証券ディーラーたにやんの超・優待投資 草食編 Kindle版 』(インカムライフ出版)がある。

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