(写真=PIXTA)
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収益を得るために資金を投じるのが本来の投資の目的だが、実は納税額を抑えることにも活用できる。そして、誰しもできるだけ納税額は抑えたいというのが本音ではないだろうか。

その意味でも、節税を図ることを目的とした投資も非常に魅力的な選択肢となってくる。

減価償却とは

そもそも法人税や所得税は、総収入から経費や各種控除などを差し引いた課税所得(税引前利益)に対して所定の税率が課せられる。そのようななか、いくつかの費用は経費として計上し、課税所得を圧縮することができる。

経費として計上できる代表的な費用に、設備や機器などの減価償却がある。税制上で設備や機器は固定資産と呼ばれており、それらは歳月を経るにつれて劣化(価値が減少)していく。こうした目減り分を経費として計上することが認められているのだ。

無論、計上できる金額が大きいほど、経費の総額も増えて納税額を抑えられる。太陽光投資のように長期的な安定収益を求める際にも、あわせて節税のことも念頭に置きながら検討を進めたいところだ。

太陽光投資を行った際の節税

太陽光投資の大きな魅力は、国が定めた固定価格買取制度によって長期間にわたる安定収入(電力会社へ発電した電気を売ることで得られる利益)が約束されている点にある。こうした収益性とともに節税効果を求めるなら、「生産性向上設備投資促進税制」に注目するといいだろう。これは、質の高い設備への投資に対して設けられた税制上の優遇措置だ。

青色申告を行っている個人事業主もしくは法人が2016年4月1日〜2017年3月末日に所定の設備に投資すると、50%の特別償却(即時償却)もしくは最大4%の税額控除を利用できる。太陽光発電設備も所定の条件を満たせば、この税制優遇を受けられるのだ。

ただし適用には条件がある。「利益改善のための設備の要件」の場合、投資利益率が15%(中小企業者等は5%)であること、機械装置は160万円以上など一定価格以上であること、などがある。

では、具体的にどの程度の節税効果が得られるのだろうか。一例として、今期の税引前利益が3,500万円で35%の法人税率が適用され、太陽光発電設備の設置費用が1,500万円だったケースでシミュレーションしてみよう。

生産性向上設備投資促進税制を適用しなかった場合は、「3,500万円×35%=1,225万円」の法人税がかかってくる。これに対して、50%の特別償却を行った場合は設置費用の半額を税引前利益から差し引けるので「3,500万−750万円=2,750万円」が課税対象額がとなる。その結果、課せられる法人税は「2,750万円×35%=962.5万円」になる。つまり、「1,225万円-962.5万円=262.5万円」もの節税を達成できるわけだ。

もちろん、あくまでこれは一例であり、発電設備の規模や性能、設置条件などが異なれば節税できる金額には違いが出てくる。とはいえ、同制度を活用しないケースよりも税負担が軽くなる可能性は極めて高いだろう。

安定収入を得ながら償却を取る

この特別償却を利用すれば、先にも述べたように20年間の安定収入を得ながら、本来なら税金として徴収されるはずだった資金も手元に残る。まさしく、ダブルメリットを享受できるわけである。ただし、これから投資を始める人が特に留意すべきは、前述の通り2017年3月31日までに発電を開始することが必要だ。

言い換えれば、その期限が目の前に迫っているのだから、太陽光投資に魅力を感じているのであれば、すぐに検討に移りたい。経済産業局によるチェックにはある程度の時間を要する可能性があるので、速やかにアクションを起こしたいところだ。