日経平均予想ジ レンジ 18,915 ~ 19,615 円

今週は、トランプ米大統領就任演説で保護主義的な姿勢を示したことで、円高・ドル安が進むなど、外部環境悪化から日経平均は一時、18,800円台を割り込んだ。その後、米新政権の政策方針を好感した米国株高に追随する形で、1/6以来19,400円台を回復した。

海外の焦点

NYダウは初めて2万ドルの大台を突破した。市場はオバマ政権が却下した原油パイプライン建設計画の推進を決めるなど、次々と公約を実行に移すことを好感。20日就任したトランプ大統領は、自動車3社とのトップ会談でも見られるように、国内の雇用創出を最優先課題としている。

米国の失業率は、昨年11月4.6%まで低下したが、住宅バブル時の2007年5月4.4%、ITバブル時の2000年4月は3.8%まで低下。大統領の創出案が奏功すればまだ低下余地は十分あるといえる。

失業率が低下傾向を維持している限り、米国株は長期上昇基調を持続すると考えられる。また、昨年12月ISM製造業景況指数は54.7%に上昇するなど、法人減税、インフラ投資など、大規模な景気刺激策を期待して、企業の景況感も大幅に改善している。

国内の焦点

日銀は、31日最新の経済予測である展望レポートを公表する。成長率見通しは2016年度(1.0%)、2017年度(1.3%)ともに上方修正する可能性が強く、2016年下期から世界の製造業・貿易が上向き、日本も鉱工業生産や輸出で回復の兆しが明らかになるとの見解を示す模様。改めて、堅調な日本経済が見直され、株式相場の下支え要因として注目される。

来週の株式相場

テクニカル面では、1/12から25日線を下回る調整局面が続いていたが、今週はこれを上抜け、調整一巡感から新たな上昇波動入りが期待される。ただ、1/5高値19,615円で跳ね返されると三尊天井が形成され、短期的には改めて下値模索となる可能性には注意を払いたい。その場合、1/24の窓埋め、18,915円が意識されやすい。

需給面では1/20現在の裁定買い残株数は10億株に積み上がっており、トランプ氏当選後のボトム5、6億株を大幅に上回ってきた。円高が強まるなど先安感が強まることで裁定解消売りにつながりやすい状況には留意しておきたい。

以上、来週の株式相場は、10-12月決算が本格化する中、外部環境を睨み年初来高値更新の展開となろう。好業績銘柄中心に、自社株買いや為替の影響を受けにくい銘柄の個別物色の流れは強まりやすい。日経平均のレンジは、上値は1/5高値19,615円が意識され、下値は1/24窓埋め18,915円が目処となる。

株式見通し1-27

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト