省エネリフォームに対する金融機関の対応

省エネ、耐震リフォームに対する減税措置は、所得税、固定資産税、贈与税で適用されます。自己資金でも、一般的なローンでも、住宅ローンでも一定の減税措置の対象になります。一方で、各地方自治体に於いてはそれぞれの方法で何らかの支援制度を設けています。最も多いのは、リフォーム金額の一部を補助するものです。金融機関では、省エネリフォームに関しては独自の金利優遇制度を導入しています。地方銀行などでは、太陽光発電、エネファーム、エコウィルに特化したローンを特別金利で展開するところも有ります。リフォームローンは、概ね省エネ用に限られていて、耐震に関するローンは特に商品化されていません。住宅金融支援機構では耐震、バリアフリーに特化してリフォームローンを展開しています。各金融機関とも、今般の政府の実証事業の結果を見て新たな展開を見せるものと思われます。


資産価値と市場価値

資産価値とは一体どういうものでしょうか?不動産に対する資産的評価は、政府側の評価で何が決まるかと言えば課税料率です。政府の評価が高ければ税金は高くなります。個人住宅では、ほとんどの場合所有者自身が居住し、転売の意志が無い場合には評価が上がることは嬉しい事とは言えないのです。

一方でどのいくらで転売できるのか?賃料はいくらとれるのか?という市場価値は不動産所有者の利益を左右します。収益物件の所有者にとって重要なものは市場価値です。省エネ、耐震リフォームをすれば光熱費が下がり地震被害が軽減されるわけですから実質的な不動産価値は確実に上がります。このような、省エネや耐震のレベルの表示義務を法制化すれば、中古マンションや中古戸建販売では市場価値が上がります。賃貸物件に関しては、省エネ、耐震リフォームをした物件を借りれば所得減税を受けられるなどのテナントサイドの利点を公的制度が欲しいところです。このようなシステムが確立されれば、省エネ、耐震リフォームをした不動産は高く転売できる、テナント集めが容易になるなどの利点が生まれることで儲かる物件になります。また、減税措置や補助金交付などに加えて省エネ、耐震リフォームの費用を即時償却の対象にするなどの措置も、省エネ、耐震リフォームをした不動産オーナーの利益率を上げることになります。そして、そのことが金融機関のリフォーム優遇ローンの販売を加速させるのではないでしょうか?


費用対効果を上げるために

省エネ、耐震リフォームの費用対効果を上げるために一番先にすることは工事費の節約です。近年、省エネ、耐震、とともに必須条件とみなされているのがバリアフリーです。今般の政策にはバリアフリーは含まれてはいませんが、自治体の補助支援制度はバリアフリーが主になります。また、テナントの関心を引き、商業的な効果を上げるためには外観が一番大きく影響します。一般住宅であれ、商業施設であれ、いかに省エネ、耐震機能が優れていても外観に魅力が無ければお客を獲得することは難しいのです。もちろん、汚れた外壁なども商業効果を半減させてしまいます。

これらのリフォームを、ばらばらにしていれば設備的な互換性が悪くなり、工事頻度が増える可能性が大きいのです。リフォームは総合的に一括して行うのが最も費用対効果を上げる方法なのです。建物の一部をリフォームするのではなく、建物全体の工事を一括して行う事もリフォームコスト削減につながります。リフォーム工事は総合的に一括して行いながら、減税制度の利用、補助支援制度の利用、経費処理、減価償却処理などは細分化して緻密に対処していくことで費用を可能な限り抑えます。このようなリフォームをテナントが入居したままに行うことが最も大きな費用削減になりますから、リフォームがテナントの利益になるのだという宣伝が非常に重要なのです。

【関連記事】
名士が好み、移り住む本物の邸宅地 渋谷区大山町の魅力とは?
入居率97%のマンション経営、「空室なし不動産」の意外な見分け方とは?