老後は収入が大幅に減少することから、手持ちの資金を上手に運用していく必要がある。その時の対策の一つとして候補に挙げたいのが、退職金専用定期預金である。元本割れの心配がなく、一定期間はかなりの高金利に設定されている商品が多いため、すぐに使う必要がない資金の預け入れ先としても便利な上、手堅く資金を増やしていくことも可能と言える。特徴を理解して上手に活用すれば、豊かな老後に役立つ商品となるであろう。
退職金専用定期預金とは
退職金専用定期預金とは、各金融機関が独自に設定している定期預金の一種である。利率はその時期の相場にもよるので一概には言えないが、退職金専用定期預金は一般的な定期預金と比べてかなり高利になっていることは間違いない。近年、金融機関における預金利率はマイナス金利と言われている通り、過去最低の利率となっている。そのため、ここ最近は預金に資金を預け入れる人が減っており、余剰資金で投資信託などの運用を行う傾向にある。
そのような環境下で、退職金専用定期預金は金融機関にとってはメリットが全くないばかりか、高金利によりむしろ損失を負うことになりかねない。しかしこれは、金融機関にとっては定期預金の口数を増やす目的ではなく、満期時に投資信託などの資産運用を勧めるための布石であり、期間はそれほど長く設定されていない。満期になった時には様々な商品を勧められる可能性が極めて高く、強く勧誘されたときに上手に断れないという場合は熟考を要する。
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定期預金選びのポイント
退職金専用定期預金を選ぶ時には、利率だけでなく預入期間や預け入れ可能な期間などを確認しておく必要がある。一般的には、退職後1年以内であればこの定期預金を利用することができ、満期までの期間が3か月となっているものが多い。また、その金融機関との取引内容によって利率が変わるというケースや、預入金額によって利率が変わるケースなど特徴は様々である。既にその金融機関で他の取引をしているのかどうか、自分がいくら預け入れをするのかなどによってメリットの大きさが変わってくることを覚えておこう。
また、満期時の資産運用や年金保険等の勧誘は避けられないことを考慮し、強引な勧誘をしてこないところ、断りやすいところを選ぶのもよいであろう。将来的に資産運用を考えている場合には、最初から利用を検討している金融機関に預け入れるという方法もある。一方、借り入れ可能な期間の設定を利用して、1年の間に複数個所で高利の定期預金を利用することも可能である。
各社の定期預金金利を比較
各金融機関の退職金専用定期預金を比較すると、ほとんどの金融機関で定期預金の期間を1~3か月程度の短期間に設定している代わりに、マイナス金利の環境下において年数%という高い利率を実現している。一方、退職金専用定期預金としては利率が低いものの、1~2年という比較的長期の預け入れができる商品もあるため、預入期間と利率で受取利息の総額を計算した上で検討する必要がある。
1年以内の定期預金としては、他に6か月物もいくつか見られるが、3カ月物の商品と比べると利率が半分以下になっていることがほとんどである。 なお、これらの定期預金の中には取扱終了までの期間が定められているものもあり、条件をクリアしていても、いざ申し込もうとした時には受付が終了している可能性もある。多くの金融機関は取扱終了後も利率などを改定して類似した商品を提供しているが、確実に条件の良い定期預金に預けたい時には、早めに手続きを進めておきたい。
退職金専用定期預金を利用する際の注意点
退職金専用定期預金は利率が高く、退職金からの預け入れであれば比較的誰でも利用できるという手軽さが大きなメリットとなっている。一方で、地方銀行など営業エリアが限られている金融機関の場合、条件が良くても利用できない可能性があるため、申し込む際には注意したい。また、満期時にはほぼ確実に資産運用へ勧誘されることもあり、それなりの心構えが必要である。
退職金となると1000万円を超える資金をこの定期預金に預け入れるケースも少なくないが、銀行預金は一行当たり1000万円と利息分しか預金保険で保護されない。そこで、まとまった金額をこの定期預金に預け入れるなら、複数の金融機関に資金を分散させて預け入れるなどのペイオフ(破綻した金融機関に代わって預金保険機構が預金者に預金を一定額まで払い戻す制度)対策を講じておくことが望ましい。ただし、ペイオフで保護される預金利息は高利の退職金専用定期預金の利率ではなく、その時期の相場などを考慮して定めている利率となる。
預金満期後の運用も考える
このように、上手に活用すれば退職金専用定期預金は将来の老後資金としても、資産運用の原資を増やす手段としても非常にお勧めである。元本割れのリスクもなく必要が生じれば、すぐに現金化できる資産というものはある程度確保すべきであるため、すぐに退職金を使い切らなければならないといった状況でもない限りは退職金の一部だけでも利用するとよいだろう。いずれにしても、退職後はリスクの低い運用が基本であり、預金満期後の運用法も早めに考えていきたい。(ZUU online編集部)
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