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(写真=The 21 online)

質の良い記憶を呼び起こし、顧客の信頼を勝ち取る!

営業活動とは、顧客が抱えている問題を解決するものだ。そのためには情報が不可欠。そして、情報を扱ううえで有効なのがノートだ。実際、ノートを使っていない営業職のビジネスマンはいないと言っていいだろう。しかし、本当に効果的な使い方ができているだろうか?

営業職の人材育成で実績を上げてきた中村信仁氏に、営業活動の成果を上げる「顧客管理ノート」の使い方を教えていただいた。

記憶を呼び起こせるかが営業活動の成否を決める

営業活動で大切なことは、お客様についての記憶を呼び起こすことです。お客様は、自分のことを知っていてくれる人を信頼するからです。

「お母様の具合が悪いということでしたが、今はいかがですか?」「勧めてくださった本を読みました。本当に勉強になりました」といった言葉をかけることで、お客様は驚き、「自分のことをそこまで覚えていてくれたのか」と感激するのです。

しかし、お客様とのコミュニケーションから得られる膨大な量の情報を、すべて記憶することはできません。そこでノートの出番です。ノートに情報を書き留めておき、必要なときに見返すことで、必要な分量の記憶を呼び起こし、披露することができるようにするわけです。

呼び起こす記憶は、質が良いことが重要です。たとえば、「できるだけ早く」という同じ言葉でも、お客様が笑いながら言うのと、切迫した感じで言うのとでは、まったく意味が違います。切迫した雰囲気を感じ取ったら、ノートに太い字で「至急」と書いて、さらに二重丸で囲って強調する。こうすることで、パソコンに「至急」と打ち込むよりも、記憶の質がずっと良くなります。

こうした商談中のメモは、ノートの左ページだけに書き留めるようにしてください。右ページは、商談後に、左ページのメモを整理するのに使うのです。整理することで記憶が強化されますし、あとで見返したとき、感性脳である右脳が左ページを認識してそのときの空気感を鮮やかに呼び起こすとともに、理性脳である左脳が右ページを認識して論理的に商談内容を組み立ててくれるからです(脳は左右を逆に認識します)。

A5かB6サイズの方眼ノートが最適

営業活動でのノートの使い方の要点については、あとの図をご覧いただければと思いますが、絶対に守らなければならないルールがあります。それは、「1冊1顧客」にすること。理由は単純。整理しやすく、管理しやすく、思い出しやすいからです。

ノートのページデザインは方眼タイプをお勧めします。文字を強調したり、囲んだり、図やイラストを使ったりと、自由に書けるからです。「それなら無地でもいいじゃないか」と思うかもしれませんが、無地だとどこに文字を書けばいいのか迷ってしまい、かえって使いにくい。

サイズは、男性ならA5、女性ならB6がちょうどいいと思います。スペースがない場所だと、ノートを手に持ってメモを取らなくてはならないからです。小さいメモ帳サイズでは、相手の話を軽く扱っているように思われかねず、失礼に当たります。

また、ノートは外見にも気をつけてください。お客様があなたに対して持つイメージに大きく影響するからです。とくに、メモを取っている手元は、お客様の視線が行きやすい。キャラクターものなどを使っていると、社会人としての常識を疑われるかもしれません。一方で、ユニークなデザインや特徴的なブランドのノートを使うことで自分の感性をアピールすることは、業種によっては効果的でしょう。

ペンも同様です。ポイントは、ノートではなく、ネクタイに合わせること。地味なネクタイに派手なペン、あるいはその逆の組み合わせは、ファッションのマナー違反と同じです。

商談の雰囲気まで記録する「1冊1顧客」のノート術2

商談の雰囲気まで記録する「1冊1顧客」のノート術3

商談の雰囲気まで記録する「1冊1顧客」のノート術4

商談の雰囲気まで記録する「1冊1顧客」のノート術5

中村信仁(なかむら・しんじ)〔株〕アイスブレイク代表取締役
1966年、北海道生まれ。高校卒業と同時に外資系フルコミッションの営業会社に入社。初年度から2年連続、世界トップ・テンに名を連ねた。退職後、英会話学校の立ち上げを任され、関東有数の有名スクールに育て上げる。その後、22歳で起業。現在、各社の営業戦略顧問や人材教育、人材育成、人材採用プランナーとして活躍中。著書に『[図解]営業成績が上がる「一冊一顧客」ノート』(PHP研究所)などがある。(『 The 21 online 』2017年1月号より)

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