金融キャリアサイト「eファイナンシャル・キャリア」などの報道から、投資銀行のエクイティ・アナリストがここ数年で著しく低下していることが判明した。

昨年だけでも300人が解雇されており、2007年には9000人だったアナリストが現在は6282人まで減っている(データ:Coalition)。

アナリスト不足がアナリスト不足を生む悪循環

アナリスト減少の主な要因として、銀行側のコスト削減が挙げられている。それにともない分析の目的が長期的な影響を視野にいれた高品質なレポート作成から、目先のトレードを活性化させるための短期的予想に移行している。

アナリストへの圧力はそれだけではない。欧州連合(EU)による「第2次金融商品市場指令(MiFID II)」が施行される来年1月以降、アナリストに支払う報酬をほかの業務の一部に含むことが禁じられる。そのためアセット・マネージャーの3割が分析部門の予算削減を検討中であることが、香港のマネージメント・コンサルティング会社、Quinlan & Associatesのサーベイで明らかになっている。

同社の調査によると、毎週4万件ものリサーチ結果が大手銀行やブローカーからだされていいるが、実際に目をとおされるのは2%から5%だという。つまり95%から98%の分析結果はまったくのむだ骨ということになる。コスト削減対策の一環として、必然的に「不要なアナリスト」が減らされるのは理にかなっている。

その反面、人員枠を狭めれば狭めるほど各アナリストにかかる負担が膨張する。かといって報酬が大幅に増えるわけでもない。不安定な環境がアナリスト不足を加速させるという悪循環におちいっている。

その結果、一流のアナリストがよりよい労働条件を求めて、勤務先を次々と乗りかえるケースも珍しくなくなったという。

こうした傾向は特に欧州で強く見られるようだが、世界中どの地域でも多かれ少なかれ該当するようだ。Quinlan & Associatesはアナリストにとって不安定な状況が、当分の間は継続するとの見解を示している。( FinTech online編集部

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