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Written by 菅野陽平 23記事

16→17年インタビュー

「35年間に渡る債券バブルの終わり」広木隆 マネックス証券チーフ・ストラテジスト

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(写真=ZUU online)

様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任し、長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に定評があるマネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏。同氏は2016年をどのような年だったと振り返るのか、また2017年はどのような年になると見ているのか。(聞き手:ZUU online編集部 菅野陽平)※インタビューは2017年1月26日に行われました。

35年間続いた金利低下時代の終わり

ーー広木さんは2016年を振り返ると、どのような印象でしたか。

ポイントは2つあったと思っています。ひとつは金利が大底をつけた可能性が高いこと、もうひとつはトランプ大統領の誕生です。

2016年は、長年続いた金利低下の時代が終焉した年という、歴史的な年だと考えています。2016年1月に日銀がマイナス金利政策を導入し、夏前には日本10年債利回りが-0.3%くらいまで低下しました。しかし、年後半は上昇を続け、年末にはプラス圏に浮上しました。年前半と年後半で全く逆の動きをしたわけです。

日本だけではなく、世界的にこの傾向を確認することができます。つまり、世界全体の金利が年央で大底をつけたというのが、去年1年間の金利の動きと言えます。重要なことは去年1年間という短期目線だけでなく、長年に渡り続いた金利低下が、ついに大底をつけた可能性があるということです。

最も一般的な指標である米国10年債金利を長い目で確認すると、1981年に金利のピークをつけました。大体16%くらいです。1981年から2016年までと考えると、約35年間に渡って金利低下が続いていた。この長期に渡る金利低下時代が去年、ついに終わった可能性があります。長期金利の上昇を加速させたのはトランポノミクスへの期待であったと思いますが、トランプ大統領誕生の前から長期金利は反発し始めていたわけです。

ーーなぜ長期金利は反発したのですか。

金利もひとつの景気サイクルです。景気サイクルには色々な理論が存在します。そのひとつに「コンドラチェフの波」という約50年周期の景気サイクルがあります。これくらい長い景気循環は、普段の生活からあまり感じませんが、世界では今まさに第4次産業革命が起こっています。

AI、ビッグデータ、IOTといった単語を見ない日はありませんよね。ローレンス・サマーズ氏が主張した「長期停滞論」に代表されるように、これまで世界は3低(低金利、低インフレ、低成長)に悩まされてきましたが、ようやく世界が新しい成長のネタを見つけられたんじゃないかということです。

ーーふたつ目のトランプ大統領誕生はどのようにお考えでしょうか。

英国EU離脱選挙についても同様ですが、大統領選の結果にマーケットは大きく動揺しました。しかし、どちらも株価はすぐ値を戻し、高値を更新していったわけです。米国大統領選後の株式市場に至っては、日本時間に急落したものの、米国時間ではほとんど下げませんでした。2017年に入り、ダウ平均は2万ドルの大台を突破する場面もあります。株価の反発力、回復力を見せつけた年だったんじゃないかと感じています。

ただBrexitやトランプ大統領が生まれた背景について、やはり我々はもっとよく考えなければいけません。トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』がブームになったように、格差や分断をキーワードとした世界の変質は、以前から指摘されていたことです。それが2016年、ついに顕在化した。やっぱりその根幹となる格差、貧困、差別、分断といった社会の歪みや矛盾について、もっと考えていかないといけないと思います。

日経平均は高値2万2500円ほどを見込む

ーー2017年の展望についてはどのようにお考えでしょうか。

2017年の日経平均株価に関しては、高値2万2000円~2万3000円くらいを想定しています。その中間にくるのが2万2500円くらいですけれども、平成バブル崩壊以降の高値である1996年の2万2666円を今年は抜きにいくのではないかと思っています。

IMFが四半期ごとにエコノミックアウトルック(世界経済見通し)を出していますが、2017年1月のレポートでは、先進国が上方修正されてます。世界の主要な著名投資家も相次いで強気のスタンスを表明しています。企業も動き、投資家も動き始めている。こう考えると今年の日本株は相当明るいだろうと思います。

ーー強気の根拠は何でしょうか。

その根拠は企業業績です。2017年3月期でいいますと、上期は苦戦しましたが、下期から回復基調が明らかになってます。アナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサスだと2桁増益の予想になっています。来期(2018年3月期)も2桁増益が平均的な見通しなので、この企業業績の伸びを織り込んでいくと、それくらい(2万2500円)が妥当ではないかと思います。

株価は、短期では色々な影響を受けるものの、長期では企業利益を反映するものです。アベノミクスが始める前の日経平均は8000円台に低迷しており、企業業績もボトムでした。そこから2017年3月期の最終利益は2期ぶりに過去最高を更新すると見ています。2018年3月期の業績はボトムから約2.7倍になる見通しなので、利益が2.7倍になるなら、株価も2.7倍になっていいと考えています。

ーー8000円を2.7倍すると2万1600円、8500円を2.7倍すると大体2万3000円ですね。

グレートローテーションとよく言われますけど、本当に「2016年は35年間続いた金利低下が終わった年」だと仮定すれば、これからはエクイティの時代。金利がずっと低下してきたということは、債券価格がずっと上がり続けていた一種の債券バブルだったわけです。

今、資産形成層と呼ばれる世代はデフレの時代しか知らないですよね。しかし、景気や経済は循環していくものです。過去35年間におよんだ金利低下の時代が終わった可能性は高いと思っているので、ここからはインフレであったり金利上昇であったり、皆さんが経験していない時代が来るはず。これまでの先入観に頼らず、インフレヘッジの資産形成を考えていくことが大切になるでしょう。

広木隆(ひろき・たかし) マネックス証券執行役員チーフ・ストラテジスト。上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問、外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任し2010年より現職。青山学院大学大学院(MBA)非常勤講師を務め、メディアへの出演も多数。マネックス証券ウェブサイトにて、最新ストラテジーレポートが閲覧可能。「ストラテジストにさよならを 21世紀の株式投資論」「9割の負け組から脱出する投資の思考法」「勝てるROE投資術」など著書多数。

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