国際キャリアへのパスポートとして大人気のMBA(経営学修士)にも、競争社会の波が着実に押しよせている。

世界各国の経営大学のMBAコース志望者数は3年連続減少傾向にあり、優秀な生徒の確保で苦労するという点では、ハーバード大学の経営大学院、ハーバード・ビジネス・スクールのような一流校も例外ではないようだ。

斬新なアイデアと即戦力につながるカリキュラムが重要

ファイナンシャル・タイムズ紙の報道によると、経営大学における全日制MBAコース志望者成長率は2014年には61%であったのに対し、2015年には57%、2016年には43%まで落ちこんだ。米国だけでも40%の経営大学が成長率を更新した反面、それを上回る53%が低下を報告している。

高水準なカリキュラムで定評のある名門校は順調に志望者率を伸ばしているが、「名門」というだけで優秀な生徒の確保が保証されているわけではない。

全日制MBAランキングでは過去数年、常に上位10校にランクインしているシカゴのブース経営学大学院のダグラス・スキナー学部長も、MBA市場に競争社会の波が押し寄せていると認めている。

志望者の興味を惹きつけるために「常に新たなプログラムを提供すること」を対応策に打ちだしているほか、アントレプレナーシップ(企業家精神)への関心の高まりにも着目。実践講座も開催するなど、斬新なアイデアと即戦力につながるカリキュラムがMBA競争に打ち勝つカギであるとしている。

「MBA生徒にとっては国際的な教育環境で学ぶことが重要」というベルギーのブレリック・ビジネス・スクールでは、昨年MBA生が25%増加。そのうち85%が海外からの留学生だったそうだ。

MBAの競争化に拍車をかけているのは、オンラインMBA人気だ。特に米国では通信教育受講者が500万人を突破。授業料の低さもさることながら、働きながらどこからでも自分のペースで学べるとあって、米学習センター「ラーニング・ハウス」が2015年に実施した調査では、回答者1500人中の2割がオンラインMBAコースを選んだことなどが報告されている。

しかしこうした競争化は生徒にとっても大学にとっても、カリキュラムの向上という点で大きな恩恵をもたらことが期待できる。( FinTech online編集部

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