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(画像=お金のデザイン Webサイトより)

ロボットアドバイザーの「THEO」(テオ)を運用するお金のデザイン(東京・港区、廣瀬朋由代表取締役社長)は2月6日、サービス開始から1年を経過したのを機にメディア説明会を開き、取締役COOの北澤直氏が登壇。1年間で24万人以上が「THEO」を体験、サービス申込者数は2万人を超えたことなどを発表した。新しいインフォグラフィックスを公開したほか、今後、地域金融機関や丸井、リクルートなどとの連携構想の一環も明らかにした。(経済ジャーナリスト 丸山隆平)

サービス開始1カ月で申込者は想定の3倍以上の2000人超

「THEO」は2016年2月6日にサービスを開始した。スマホで年齢、運用期間、インフレや配当・利息に対する態度などの質問に答えると多数のETF(上場投資信託)のなかから、2分でその人に合った最適な国際分散ポートフォリオを提案する。利用者に代わって資産運用を行うロボットアドバイザーによる投資一任サービスだ。

登壇した北澤COOはサービス開始時を振り返り「資産運用は一般的にハードルが高いものであったが、Webサービス化することで不安を解消し、潜在ニーズを掘り起こすことがこの1年のミッションだった」とした。

登壇した北澤COO(写真=筆者)
登壇した北澤COO(写真=筆者)

「サービス開始1カ月で申し込み者が2107人に達し、想定していた3倍程度の申し込みがあった」(北澤氏)。

この間、マーケティングでは「マスメディアを通じた広告は行わず、Webマーケティング的に対象を絞ったマーケティング手法を採った」(北澤氏)という。

日本の一般的な人は資産運用とは遠いところにいる存在

その結果サービス開始1カ月時点で申込者の84%が過去投資運用の経験はほぼ未経験で、年齢は30代以上が56%。保有資産は500万円未満のユーザーが49%を占めた。

この結果について過去、金融業界に身を置いてきた北澤氏は「ある程度想像していたものの、日本の一般的な人は資産運用とは遠いところにいる存在。資産の運用の経験のある人は時間とお金に余裕のある1部の人であることが改めて分かった」という。

いつの間にか70歳に近づいている筆者の体験に照らしても、一般の人が投資を考えるのは退職金が入ったときくらい。自由になる、まとまったお金を持つのはごく一部の富裕層だ。

北澤氏も「お金のことを考える時間がある人は50代、60代の人」との感想を述べた。

将来のお金に不安のある20代、30代

「THEOはこれらの50代、60代の人ではなく、あえて潜在的なニーズを抱える20代、30代の人にターゲットを絞った」。

その理由について北澤氏は「実はこの年代の人は貯蓄率が高い。年収に占める貯蓄率の割合が半分程度というデータもある」と明かす。

「20代、30代の人は将来に向かってお金の不安があるから、使わないで貯めておこうという意識がインタビューや調査で明らかになっている」と北澤氏。

もっと切実な意見は20代、30代のユーザーの29.8%が「マイナス金利時代、銀行預金にだけ頼れないと思った」という現在の金融業界に対する意見だ。

これらの若年層がなぜ投資に向かわないかというと、「手数料が高い」「分かりにくい」「時間がない」などだ。「THEO」ではスマホだけで資産運用の相談や申し込みができ、金額も20万円以下の投資額でスタートできる。

今回のインフォグラフィックスでは「THEO」を選択した理由として、72.2%の人が「ロボアドバイザーによる一任運用は楽だから」を挙げ、全体の82.7%が「THEO」に満足できると回答していることも明らかになった。

従来、金融と関係のなかった企業とのサービス連携を進めていく

北澤氏はまとめとして「THEO」は日本国内の投資一任型のロボットアドバイザーとして預かり資産No.1(2016年9月末時点、日本投資顧問業協会の統計による)であることを述べたが、「これが全てではなく、日本のロボアドバイザー業界は認知度が低い。各社と切磋琢磨して業界としてのパイを広げていきたい」とした。

最後の質疑応答では課題である女性ユーザーの拡大策について「株主である丸井と密に協業の計画を進めており、同社顧客への訴求や、社員の福利厚生策の一環としてTHEOを採用いただくことなどを計画している」(北澤氏)と語った。

対面販売については「当社が営業部隊を増やすのではなく、地域金融機関との協業、WIN-WINの関係で展開できる。リクルート、日本交通など従来、金融と関係のなかった企業とのサービス連携を進めていく」とフィンテック企業として注目される発言で締めくくった。

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