FacebookやAolのシニア・テクノロジストの引きぬきに成功したゴールドマン・サックスやHSBCを筆頭に、FinTech部門強化を狙う大手銀行によるテクノロジスト獲得戦が激化している。
これまでテクノロジーとはほぼ無縁だった多くの銀行がデジタル改革に乗りだした近年、知識と経験豊富な人材確保は最優先事項のひとつとなっている。
「外部から優秀な技術者を確保」が大手銀行の常識に?
英金融キャリアサイト「eファイナンシャル・キャリアズ」の報道によると、米ゴールドマンは今年1月、元Facebookのメディア製品部門責任者、マイケル・セルダ氏を新たに雇用。ニューヨーク本社のマネージング・ディレクター兼オンライン融資プラットフォーム「マーカス」のプロダクト部門責任者に任命した。
「マーカス」はゴールドマンが2016年10月、個人消費者向け融資として開始したFinTech事業の一環だ。手数料無料、2年から6年の固定金利融資を売りに、クレジットカード・ローンの借り換えを促す戦略だ。融資額は3500ドルから3万ドル(約39万円から337万円)。年率5.99%から22.99%となっている。
ゴールドマンによるテクノロジストの拡大は、今年2月にはいって2度目である。米GS銀行のデジタル・ファイナンス・テクノロジー部門責任者、ボエ・ハートマン氏も、USAの消費者・商業バンキング部門のCIOに昇格させた。今後さらなるマーカスへのテクノロジスト引き抜きが予想される。
一方HSBCはAOLエンジニアリング部門のヴァイス・プレジデントを2年半にわたり務めたフィル・チータム氏を、チーフ・テクノロジー・オフィサーに迎えいれた。デジタル改革では一歩出遅れたHSBCだが、現在は組織再編をとおして大規模なシステム改革を実施中だ。
外部からの人材確保によってデジタル部門を結成し、新たな商品を国内だけではなく世界に向けて提供することに挑戦している。ゴールドマン同様、改革の進行にともないテクノロジスト数の増加が予想できる。
こうした動きはライバル銀行間でも活発化していることから、優秀な人材の争奪戦がますます激しさを増していくだろう。( FinTech online編集部 )
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