まだまだ知名度が低いけれど企業業績が好調な優良銘柄を紹介していこう。今回はコシダカHD <2157> に焦点を当て好業績の理由を見ていこう。
コシダカはカラオケとフィットネスを運営
コシダカと言っても会社のイメージが思い浮かばない人が多いのではないだろうか?カラオケボックス「カラオケ本舗 まねきねこ」と、フィットネス・チェーン「カーブス」の運営を2本柱とする東証1部上場企業だ。新規分野として温浴事業「まねきの湯」もやっており、総合余暇サービス提供会社と称している。
「まねきねこ」はビッグエコーに次ぐ日本2位の店舗網をもっており前期末(16年8月)時点での店舗数は457店舗。「カーブス」は前期末時点で1722店舗とフィットネス・チェーンでは日本一の店舗数。「まねきの湯」は全国で5店舗を展開中だ。
コシダカをIPO時に買っていれば7倍以上に
2007年6月にジャスダック上場、昨年16年9月に東証1部に指定替えした。今17年8月期も史上最高益(経常利益)を更新する見込みであり15期連続となる。
15期連続過去最高益ということは、07年の上場以来では9期連続の増収増益となる。上場以来減益になったことがない。さらに、上場来9期連続で増配中。今期予想の配当利回りは1.48%と高水準だ。
07年のIPO時の初値は437円。2015年の高値は3250円。もしIPO時に買っていたら、株価は一時7倍以上になった。IPO後の安値はリーマンショックの08年に65円。ここで買っていればなんと株価は50倍になった。
既存の業態に新たなサービスを導入し市場拡大する
コシダカのビジネス成長戦略は「既存業種新業態」の開発だ。どこにでもあって誰もが知っている業態に、新しい仕組みやサービス、商品を投入し、新たな業態として拡大していくことを成長のドライバーとしている。
カラオケにはさまざまなサービスを導入した。有料のワンドリンクオーダー制やワンオーダー制を採用するかわりに室料を安くした。たとえば「ZEROカラ」という高校生の室料無料サービス、「朝うた」という12時まで室料30分10円などで、落ち込みの激しい高校生来店客やシニア層の取り込みに成功した。
原則、飲食物の持ち込みをOKにしたこと、一人専用店を開店したことなど常に業界に新しい挑戦をしてきた。全店禁煙も首都圏を中心に16年9月からはじめている。
フィットネスクラブは、女性専用で展開している。予約無しで短時間でもフィットネスに通えるように店舗数を増やしてきた。シニア世代が、病院や介護の世話にならずいつも若く元気にすごせるように、仲間と生涯運動が出来る場所を提供している。
フィットネスのハードルを下げることに成功しており、会員数は前期末で8.6%増の77.2万人、年齢構成は40代以上が95.9%を占めている。高齢化社会の勝ち組だと言ってもいいだろう。
1Qは減益だったが通期では最高益更新する見込み
17年1月10日に発表した17年8月期の第1四半期(9~11月)決算は、売上は10.6%増の123.3億円と2桁の増収となったが、営業利益は1.6%減の6.1億円の減益となった。
セグメント別では、カラオケが売上5.5%増の64.1億円、営業利益は4.8億円の赤字(前年同期は0.7億円の赤字)。カーブスは、売上が18.0%増の54.7億円、営業利益は6.3%増の12.2億円だった。
営業減益、カラオケ赤字拡大と、さすがのコシダカも個人消費が低迷する中で苦戦している。ただカラオケには季節性があり1Qの赤字は問題が無いようだ。コシダカで言うと年末を含む12~2月期の稼働率が高くなり、16年8月期の場合12~2月で営業利益の40.6%を稼いでいる。会社も1Qは小幅減益は想定線であり、通期の業績予想の売上7.7%増の551.1億円、営業利益13.7%増の54.7億円は据え置いている。
低価格を売りにしたチェーン店形態なので、採算はそれほど高くない。前期の営業利益率は9.4%。カテゴリー別では、カラオケの営業利益率は4.2%、カーブスが19.5%となっている。採算的にはカーブスが稼ぎ頭だ。温浴事業も前期で黒字化した。
新規出店と新サービスで今後も最高益更新を目指す
今期は、カラオケでは新規出店を50店舗予定している。特に関東の1都3県に集中して出店する。「ZEROカラ」、「朝うた」に次いで「まね女」、「ネット予約」などのキャンペーンや新サービスを導入していく。
カーブスでは、年間90店舗の出店計画。広告強化、森永乳業などナショナルブランドとのコラボ、自治体との連携などで会員数100万人に向けた店舗網を構築していく。常に新しいサービスで増収増益を続け、増配も続けている会社で、高齢化社会の勝ち組だ。PERも予想ベースで15倍と割高感はなく、配当利回りも1.48%と悪くない。NISAやIDECOなど長期投資に適した銘柄の候補として注目していきたい。(ZUU online 編集部)