矢野経済研究所,市場規模
(写真=PIXTA)

矢野経済研究所がまとめた国内フィンテック市場調査によると、2021年度には808億円に市場規模が成長すると予想されている。15年度の市場規模は48億8500万円とみられるため、わずか6年で16.5倍に成長する計算だ。

同研究所がこのほどまとめたのは、2015年度のフィンテック市場について。市場をけん引した存在としては「ソーシャルレンディング」「クラウド型会計ソフト」を挙げている。

クラウド型会計ソフトが伸張した理由

ソーシャルレンディングとは、資金調達をしたい人と資金提供を行いたい人を結び付けるサービス。ここ数年で急速に増え、クラウドファンディングのような個人出資のCtoCのものであっても数百万~数千万円の資金を集める事例は少なくない。ベンチャー企業が多いが、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行といったメガバンクも動きを見せている。

また「クラウド型会計ソフト」は、freeeやマネーフォワードのMFクラウド会計などで、こちらはかなり一般認知度も高まってきたのではないだろうか。企業向けではあるが、個人向けにはマネーフォワードやマネーツリーといった、いわゆる「家計簿アプリ」として浸透しつつある。

この分野が伸びた理由として同研究所は、導入する会計事務所が増えたことや、地方銀行との関係構築が進んだこと、また銀行 API(Application Programming Interface)との接続が増えていることなどを挙げている。APIの公開はまさに今、フィンテック業界でも注目されているテーマであることは間違いないだろう。

同研究所は2021 年度に市場規模が808億円に達すると予測する要因として、ビットコイン(仮想通貨)の利用拡大、ビットコインにも活用されている「ブロックチェーン」技術を活用した実証実験の事例増加、金融機関や大手 SIerによるベンチャー企業との協業、銀行法の改正、API公開が進むこと--などを挙げている。

銀行法改正のみならず、フィンテック分野に関しては法的整備がゆっくりではあるが進みつつある。今年は税制改正で、資金決済法上の仮想通貨について消費税が非課税となる。AIやIoTも法律で初めて定義した「官民データ活用推進基本法」も昨年12月7日に参議院本会議で可決・成立したばかりだ。こうした法令の整備が市場のさらなる拡大に寄与することが期待される。( FinTech online編集部

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