2月27日~3月3日の東京株式市場は堅調だった。トランプ米大統領の就任後初となる議会演説では、株式市場に悪影響を及ぼすような過激な発言が見られなかったため、買い安心感が広がった。ニューヨーク・ダウ工業株30種平均は2万1000ドル台に乗せて高値を更新。円安が進んだこともあり、日経平均株価も取引時間中に1万9600円台に上昇する場面も見られ、1年3カ月ぶりの高値をつけた。
3日には、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が講演し、来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの可能性について言及した。米国株が高値を更新する中で、東京株式市場も堅調地合いが続くか注目される。
業績予想の下方修正等で売られた銘柄が目立つ
今回は東証1部「2月の値下がり率」ランキングをみていこう。
(1)ブレインパッド <3655> -32.22%
(2)カルソニックカンセイ <7248> -28.63%
(3)カカクコム <2371> -20.65%
(4)ワイエイシイ <6298> -17.83%
(5)日本マイクロニクス <6871> -16.61%
(6)ハーツユナイテッドグループ <3676> -15.95%
(7)大垣共立銀行 <8361> -15.79%
(8)ヤマハ <7951> -15.16%
(9)さくらインターネット <3778> -15.02%
(10)ゴルフダイジェスト・オンライン <3319> -14.91%
※銘柄、証券コード、下落率(%)の順、2月28日現在。
2月の日経平均株価は1万9000円前後で一進一退の展開だった。市場全体の方向性がはっきりしない中で企業の決算発表が進んだこともあり、上記ランキングでは業績予想の下方修正等に失望して売られた銘柄が目立つ。
ちなみに、原子力事業に関連した損失が明るみとなり、売りが殺到した東芝は下落率14.07%でランキング14位だった。
ブレインパッド、成長シナリオが崩れる懸念
それでは、今回は「月間値下がり率」ランキングから、ブレインパッド、カカクコム、ヤマハを取り上げたい。
ブレインパッドは、データを活用して顧客企業の販売促進につなげる専門会社。1月31日、同社は2017年6月期の通期予想を発表し、売上高、営業利益、経常利益を下方修正した。発表後に投資家の見切り売りが相次ぎ、2月の値下がり率は上記の通り「-32.22%」に達した。
ブレインパッドが開示している決算補足説明資料によると、アナリティクス事業について「業界随一のデータサイエンティスト組織」としている。他にもウェブサイトを訪れる利用者のデータを蓄積し、レコメンドやバナー広告を出し分けるソフトウエア「アールトースター」を軸とするマーケティングプラットフォーム事業や、CRMなど分析パッケージソフトをシステムとして提供するソリューション事業を手掛けている。
ブレインパッドの「ビッグデータ」ビジネスには先進的なイメージがあるが今回の通期予想の下方修正は、来期(2018年6月期)以降の成長シナリオを崩しかねない、という不安を株主に抱かせる結果となったようだ。
カカクコム、業績下方修正でランキング3位に
カカクコムは価格比較サイト「価格.com」やグルメサイト「食べログ」を運営するインターネット企業。
2月2日、同社は「価格.com」の不振を理由に、2017年3月通期の業績修正を発表。売上を480億円から450億円に、営業利益を230億円から210億円に下方修正した。高成長・高収益を続けてきたカカクコムの下方修正は、多くの投資家の失望売りを誘う結果となった。
カカクコムといえば、昨年ネット上で流れた風評で株価が下落した経緯がある。飲食店の店主が「食べログ」の営業担当者から「オンライン予約を使わないと店舗の評価点を下げるといわれた」という内容をTwitterで公表したことが、評価点の信頼性を揺るがせる事態となった。
同社は「価格.com」の全面改修を進めているが、同時に「食べログ」の信頼回復策にも注目したいところだ。
ヤマハ、通期予想を上方修正もコンセンサスに届かず
ヤマハは日経平均株価の構成銘柄の一つ。楽器や半導体、スポーツ用品、自動車部品などの製造発売を手がける。
2月3日、同社は業績予想の見直しを発表し、2017年3月期の連結経常利益予想を従来予想の420億円から430億円に引き上げた。足もとの為替動向を踏まえ、想定為替レートを円安方向に見直した結果だが、それでも市場コンセンサスに届かなかったと受け止められ、投資家の見切り売りが先行した。その結果、ヤマハ株の月間値下がり率は「-15.16%」とランキング8位となった。(ZUU online 編集部)
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