「国際決済の総合的な決済コスト計算が頭痛の種」という銀行側の需要に応え、即時グロス決済システムで知られるRippleが、銀行用の国際決済コスト分析ツールの提供を開始する。

取引金額や運営費用などを入力するだけで、単一決済のコスト分析が簡単に行えるほか、自社の取引量やメトリクスを国際平均と比較できるなど、便利な機能が満載だ。そのうえ大幅なコスト削減も期待できる。

マッキンゼー、国際決済市場の年間平均成長率は6%と予想

Rippleが3月7日Webサイトで発表した情報によると、ツールの狙いは、総合的なコスト構造を分析・把握することで、コスト削減につなげることだ。

決済プロセス、トレジャリー、勘定調整のコストなどの内訳がスクリーン上に表示され、現行の決済代行会社とRippleによるサービスコストの比較も可能だ。銀行側は分析結果に目をとおし、最も効率的でコストに見合った戦略を立てることができる。

Rippleのサービスに切り替えれば、サードパーティーを省いた決済取引がリアルタイムで行える。Rippleの見積もりでは500ドル(約5万7315円)の取引につき、約60%のコスト削減が期待できるという。

大手銀行などでは、既存の決済代行サービスからRippleへの移行を検討する動きが見られる。また昨年7月には、みずほフィナンシャルグループとSBIホールディングスがR3のプロジェクトで、次世代決済システム「Ripple Connect」を利用した実証実験に参加している。

国際決済総額は年々増加傾向にあり、2015年には30兆3000億ドル(約3476兆3190億円)に達したことが、マッキンゼー・アンド・カンパニーのデータから明らかになった。マッキンゼーは今後5年間にわたり、年間平均6%の成長を見こんでいる。

銀行が国際決済市場で勝ち抜くうえで、低コストかつ顧客満足度の高いサービスの提供が必須となるはずだ。( FinTech online編集部

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