2016年後半から2017年3月現在にかけて、東京における金融機関にて「不動産融資」に対する締め付けが徐々に始まっている。今回は資産運用に特化した独立FPとしての筆者の立場から、「東京における不動産市場と金融機関動向」の分析を行い、現在の状況を解説する。

高値止まりの不動産市場、その要因

東京都内では近年、2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピック」と、それを見越した物件の建設ラッシュが続いている。宿泊施設だけでなく、節税を目的とした物件の取得も目立つ。

2015年1月1日より開始された「相続税の基礎控除額縮小」と、その対策として活用された「不動産を保有することによる相続税資産評価額の圧縮スキーム活用の増加」による物件不足から建設ラッシュが続いており、物件が供給され続けるとともに需要も増加し、不動産価格の上昇が続いていた。

2016年度より日銀が導入したマイナス金利の影響により国債利回りが下落し、それに引っ張られる形で投資用ローンなどの金利が下落しているのも不動産購入に拍車をかけている。投資用不動産を扱う販売業者などは「頭金0でも月々のキャッシュフロー(家賃からローン返済、その他経費を引いた差額)をプラスにできます!」といった形で熱心に販促を行っており、先の年金に対する不安なども相まって購入者も多い。

これらにより不動産価格の上昇が「続いていた」というのが昨年末までの概況だ。

2017年現在の不動産相場分析と解説