国土交通省が2017年1月1日時点での全国各地の地価を発表した。住宅地の地価は昨年と比べてどうなったのか。これからどうなっていくのか。発表資料を読み解きながら考えてみよう。

(写真=PIXTA)
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地価は全国平均で底を打ったか

住宅地に限って見れば、全国的に続いてきたマイナス傾向は今年で底を打ったのか、今年の対前年比の変動率は0.0%と横ばいとなった。3大都市圏の平均は同0.5%増で、内訳は東京圏が0.7%増、大阪圏が0.0%、名古屋圏が0.6%増。ただ、そのほかの地方がマイナス0.4%だったために全国でフラットとなった。

3大都市圏の伸びはプラスに転じた2014年以降、一定のペースで伸びているのに対し、地方は一貫してマイナス。ただ、その下げ幅が2013年のマイナス2.5%から今年はマイナス0.4と1.9ポイントも小さくなったため、全国平均値が0.0になった。

大都市圏の地価が安定して微増しているのに地方の下落が大きかったために全国平均値をマイナスに押し下げていた数年前の状況を脱却し、地方の地価の下落が底を打ち始めたため、ここからプラスに転じる兆しと評価できる数字となった。

また、札幌、仙台、広島、福岡の4市も好調のようだ。プラスに転じた2014年以降、一貫して上昇しているが今年は2.8%増と、すべての地域の中で最大の上げ幅となっている。地方を牽引しているのはこの4市と言えそうだ。

東京23区の超都心バブルは鈍化へ

東京23区の住宅地地価の上昇率は前年比3.0%。8地点で横ばい、残る855地点で上昇しており、下落した地点はゼロだった。昨年は同2.8%だったため、やや上昇率は拡大した。

かねてよりバブル状態にあった超都心での伸びは鈍化。千代田区は7.5%増(昨年9.4%増)、中央区6.2%増(同9.7%増)、港区5.2%増(6.3%増)-という結果となった。

国交省はこの理由について、景気回復傾向が継続していること、マイナス金利導入による貸出金利が一段と低下したこと、住宅ローン減税の継続などの政策的な支えから、都心区において急速な上昇を警戒する動きが見られたためと見ている。さらに同省は、外国人投資家が数年前に購入したマンションを売却益が確定させるために売却に踏み切るケースが増えていることもあるという。

ただ、この超都心3区からは7カ所がベスト10にランクイン。特に高級住宅地の億ションが投資や相続目的で富裕層の人気を集めているのは、ここ数年で変わりはないといえよう。

最高価格値をつけたのは、堅調なマンション需要で用地取得の意欲も依然として高い、千代田区六番町6番1外で、1㎡あたり375万円。坪単価では1238万円となった。変動率は7.8%増だが、ベスト10からは圏外となった。

一方、上昇率が最高だったのは港区麻生4丁目19番1外。変動率は10.9%の増加だったが、これは高級住宅地域の富裕層向けマンション用地への大手不動産開発業者の土地取得の意欲が旺盛だからとされている。この地域は東京メトロ日比谷線広尾駅から600メートルほどに広がる都内有数の緑豊かな高級住宅地で、この5年は一貫して上昇していた。

東京圏「地価上昇率トップ10」

順位/所在地/変動率/2017年/2016年
1位:港区南麻布4丁目19番1外/10.9%/275万円/248万円
2位:港区赤坂1丁目1424番1(赤坂1-14-11)/9.9%/368万円/335万円
3位:千葉県木更津市請西南3丁目33番5/9.7%/5.08万円/4.63万円
4位:港区赤坂6丁目1911番(赤坂6-19-23)/9.2% /225万円 /206万円
5位:中央区日本橋浜町3丁目32番2(日本橋浜町3-28-2)/8.7%/112万円/103万円
6位:中央区日本橋中洲10番2(日本橋中洲2-3)/8.6% /114万円/105万円
7位:千葉県木更津市ほたる野4丁目17番7/8.2%/5.41万円/5万円
8位:千代田区紀尾井町3番27外(紀尾井町3-22)/8.0%/188万円/174万円
9位:千代田区九段北2丁目6番26(九段北2-3-25)/7.9%/272万円/ 252万円
9位:江東区豊洲4丁目3番11(豊洲4-11-30)/7.9%/60万円/55.6万円
※価格は1㎡あたり。カッコ内は住居表示

話題の豊洲がランクイン、来年は読めない?

今回、ランキングから目黒区自由が丘が転落する一方、江東区豊洲がランクイン。このエリアには10年ほど前からタワーマンションが続々と供給され始めたが2020年東京オリンピックの競技会場が集中していることから再び注目され始めた。会場整備に加え、交通インフラも整備されることが予想されることなどから、都心へのアクセスがより便利になるとの期待から急速に上昇した。

ただ、昨年の小池百合子知事の当選に伴い、既定路線だった築地市場の豊洲移転が一時ストップ。土壌の安全性についての風評被害も広がっていることも手伝い、購入を見合わせる人が増えていることから鈍化傾向もある。今のところ購入価格を下回る価格で売り急ぐケースはみられないが、今年、豊洲移転の成り行き次第では、来年もランクインできるかどうかは不透明だ。

アクアライン着岸エリアもランクイン

東京圏を県別にみると、茨城が昨年に続きマイナスとなったが、千葉、埼玉はいずれも0.2%と微増。神奈川は昨年はマイナス0.1%だったのが0.0%に微増。全体では昨年比0.1ポイント上昇の0.7%増となった。

市区町村別の上昇率で3位になったのは千葉県君津市で5.5%。また、ランキングでも同県木更津市が2カ所、入っている。両市とも東京湾アクアラインの着岸地周辺で新興住宅地として人気が安定していることが理由。木更津市の2カ所は高台にあり、対岸の神奈川よりも土地が割安な上、東日本大震災以降、津波への意識から選ばれるようになった。(フリーライター 飛鳥一咲)

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