ブランド戦略の調査機関、米BAVコンサルティングとペンシルバニア大学ウォートンスクール(Wharton School)が、世界のディシジョンメーカー(ビジネス意思決定者)6000人以上を対象にアンケート調査を実施、「投資したい国ランキング」を2017年3月7日に発表した。
投資したい国には合計5つのアジア諸国がトップ10入り。1位を獲得したのは、近年飛躍的にインフラが進み高層ビルの建設ラッシュが続く、あの国だ。東京かと見紛うほどの近代都市な光景は、先進国を彷彿とさせるほどである。早速、気になる結果を見てみよう。
10位 インドネシア
――首都ジャカルタのインフラ整備が加速 ビジネス許可は最短3日で
インドネシアは鉄道網の構築や港湾建設がすすむなど、経済成長が著しい国の1つである。ビジネスを始めるための「ワンストップサービスオフィス」を利用すれば、基本的に3営業日でビジネス許可がおりるため、手間のかからない手段でビジネスをスタートさせることができる。
9位 カタール
――天然ガスと原油が2本柱 意外に多い研究者の数
豊富な天然資源を誇るカタール。2015年はGDP成長率が4.7%と驚異的な数字を見せた。天然ガスは世界シェアの13.1%を誇り、原油と共に国の主要産業として国内経済を支えている。カタールでの外国人研究者の数は増加傾向にあり、グローバル社会を意識した新たな研究拠点として投資家から注目を浴びている。
8位 イスラエル
――安心の英語圏、2016年は1400のベンチャー企業が誕生
イスラエルはハイテク産業を中心に投資の動きが活発な国の1つである。投資を目的とするスタートアップ企業が世界から進出し、研究開発や生産拠点として成長を続けている。2016年は1兆3000憶円の海外投資を記録し、今後の海外投資家の動きも気になるところだ。
7位 タイ
――天災を乗り切れば最高の投資国家
世界から起業家や投資家が集まるタイ。バンコクであった暴動をきっかけに落ち着かない経済状態が続いているが、外国企業法により金融、電気通信、イノベーションの分野に関する事業の自由化がさらに進んでいるため、先進国からの投資エントリーが容易になった。
6位 インド
――世界レベルのエンジニアが多い国 テクノロジーは進化の一途
海外投資の好ましい枠組みである人口構成をカバーするインド。約12億5千万人の人口を抱えるインドは中国に次ぐ世界第2位である。近年、中国の経済成長に影響され経済面では停滞気味であるが、エンジニア系起業を中心に投資家からのラブコールは鳴りやまない状況だ。投資は外貨規制が敷かれていたり、業種によってビジネスに参加できない場合もあるため注意が必要である。
5位 ポーランド
――GDPは3%と好調 ヨーロッパ諸国から常にラブコール
景気拡大と不動産の低価格化で投資家の人気を集めたポーランド。今まではヨーロッパからの投資家からの買い占めが目立ったが、近年アジア諸国やアメリカからも不動産マーケットに参入する動きが見られる。EU加盟国、失業率低下、好調な消費率など経済基盤も安定している。2015年にはGDPの成長が3%へと回復し、投資への魅力が増した結果となった。
4位 デンマーク
――世界屈指の福祉国家、教育水準の高さで信頼できる労働力を確保
デンマークはスカンジナビア諸国から唯一のランクイン。整備されたインフラ、科学やエンジニア系を中心とした学識の高い労働者の数、発達した不動産マーケットの増加は海外投資家にとって魅力的であろう。地震や洪水などの天災も少なく、懸念される冷害への対策技術も進んでいる。
3位 チェコ共和国
――ヨーロッパ主要工業都市への好アクセスが好評価
中東欧諸国の中で外国からの直接投資が多く集まった国の1つがチェコ共和国だ。2004年のEU加盟や投資優遇措置の改正で海外投資家には魅力的な投資先となった。首都プラハからバルセロナ、アテネ、アムステルダムなどの近隣ヨーロッパ主要工業地帯までのアクセスも良いため、戦略的立地という点でも高く評価された。
2位 シンガポール
――国際的なビジネスが盛ん 英語が通じるのは大きなメリット
2位はシンガポール。アジア経済の中心であり、国の財政や経済収支が順調であることで海外投資家に人気がある。経済基盤を支える国内の人口増加率は2015年に低水準に落ち着いたものの、安定した状態が続いている。アジアの中でも英語が通じるため好印象であることも好評価につながった。
1位 マレーシア
――投資家が飛びつかないワケがない 好条件が揃い過ぎる国
堂々の1位はマレーシアだった。海外投資家にとってマレーシアは投資への好条件が整う国である。日本を始めとする多くの国々では永住権や適切なビザでなければローンを組むことができないが、マレーシアならそれが可能だ。さらに政府の承認が得られれば外国人でも不動産所有権を持つことができる。加えて年間を通して暖かく過ごしやすい、今後の経済的成長が期待できる、物価が安いことも投資への好条件となった。
投資したい国ランキングでもわかるように、どの国もインフレ率が高い国は見当たらない。海外投資では通過力の強弱が勝敗に大きく左右するため、インフレによる通貨価値下落は避けたい意向なのであろう。
2017年の「投資したい国ランキング」をご紹介した。世界のビジネスにおけるディシジョンメーカーは今まで以上にアジア諸国に注目し、投資に前向きになびいた結果となった。
天災が少ないことや世界共通語である英語が通じるということもポイントであるが、基本的には「その国が好きかどうか」ということが肝心であると言えよう。(ZUU online 編集部)