トヨタ、日立など大手日本企業1340社が加盟する日本経済団体連合会(経団連)が英国政府に対し、「在英企業による事業活動への影響を注意深く考慮した交渉」を要請する書面を準備した。
「影響を受けない事業はない」とまで懸念されているBrexitは、すでに多方面にわたり不穏な空気をかもしだしている。多国籍企業は勿論、最新の情報ではロンドン証券取引所とドイツ取引所の合併却下も報じられている。
英国の目指す「真の国際化」は企業にとって最悪のシナリオ?
日本経済団体連合会の動きは、英ファイナンシャル・タイムズ紙の報道から明らかになった。他国の在英企業同様、日本企業にとって英国のEU離脱は今後の事業活動を大きく左右する深刻な問題だ。交渉の結果次第では「悪夢」になりかねない要素をふんだんに含んでいる。
「単一市場への残留」という離脱決定直後に残されていたわずかな希望は、今年1月、テリーザ・メイ首相が完全撤退の意向を表明したことで打ち砕かれた。EUという枠組みに拘束されることなく、幅広い領域で貿易協定を結ぶことができる「真の国際化」を目指す意図だ。
しかしEU側がほかの加盟国によるドミノ離脱を防ぐ目的で、英国に厳しい離脱条件を突きつける姿勢であるのに対し、メイ首相は「英国の将来にとって不利な条件をのむぐらいならば、No Deal(取引なし)の方が賢明だ」と、全面的に争う意向を明らかにしている。そのため交渉が2年間という期限内にまとまらない可能性も考えられる。
交渉の延長にEU側が応じなかった場合、英国は手ぶらでEUを脱退することになる。日本経済団体連合会を含む多国籍企業が最も恐れている「最悪のシナリオ」だ。