今後の事業環境

では、村田製作所の主力製品であるコンデンサ、通信モジュールの事業環境はどうなっているのでしょうか?まずは、2014年3月期に売上が伸びた要因を見て参ります。

村田製作所の年次報告書によると、コンデンサの売上が伸びた要因は以下とあります。

  • 携帯電話の生産台数増加と高機能化の進展
  • カーエレクトロニクス向けで自動車の生産台数増加と電装化の進展

また、通信モジュールの売上が伸びた要因は、

  • 近距離無線距離モジュール(Bluetoothモジュール)が携帯電話、タブレット端末向けに大幅増加
  • 通信機器用モジュール及び多層モジュールは携帯電話の高機能化によるモジュール化で大幅に増加

とあります。すなわち、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末及び自動車業界の生産台数推移が業績を決める大きな要因になるということです。

では、これらの製品の生産台数予測はどうなっているのでしょうか?Business insiderの調査によると、2014年のスマートフォン出荷台数は前年比で35%増加し、13億台を超えるとの見通しを発表しています。また、2013年から2018年までの年平均成長率は20%と予想しています。また、IHS Automotiveの自動車市場予測によると、2013年~2018年の自動車生産台数は年率平均4.4%のペースで増加し、2018には1億台まで伸びると予想されています。

実際に村田製作所が発表している2014年度用途別売上高予想では、通信業界向けが10%程度の増加、カーエレクトロニクス向けが14%程度の増加とみており、この2つの業界への売上が売上高全体の伸びを牽引するドライバーとなります。

競合他社とその動向

積層セラミックコンデンサの主な競合会社は、TDK、太陽誘電、Samsung、京セラ等である。このうち太陽誘電は通信機器向けのコンデンサは強くないことがあり、コンデンサ部門の2014年3月決算の売上高は前期比8.5%にとどまった。また、TDKのコンデンサ部門が属する受動部品事業の売上高は前期比24%増の4,717億円。営業利益は154億円(前期は111億円の赤字)となり、大幅な増収増益を達成しました。

このように企業によって明暗が分かれているコンデンサの売上高ですが、主力販売先の業界によって明暗が分かれています。通信、自動車向けコンデンサを扱っている村田やTDKは売上が大きく伸びているのに対し、一般民生機器向けを主力としている太陽誘電は売上の伸びが大きくありません。また、コンデンサから進化した通信モジュール等、高付加価値製品にシフトしているのも村田製作所が高収益を上げている要因であると考えられます。

村田製作所の「二本足打法」

村田製作所の決算を分析してみると、決してアイフォンだけに依存しているわけではなく、通信、自動車の二本足を軸に、製品の進化に合わせて自社製品を進化させてきたことが村田製作所好決算の要因であるといえます。ゆえに、2014年度も好調な業績な期待できると筆者は見ています。