村田製作所の2014年3月期決算は、売上高が8,467億円(前期比+1,657億円、24.3%増)で過去最高を更新。営業利益は1,259億円(前期比+673億円、114.7%増)で2001年度以降の過去最高を更新しました。株価もこれを受け、決算発表時には8,500円だったのが、6月中旬に入り9,000円台を回復し、10,000円台を伺うかの勢いです。この株価水準は、既にリーマンショック前の高値を超えています。

村田製作所といえば、アイフォン(iPhone)関連銘柄というイメージが強いですが、今回の好決算はアイフォン需要によるものなのでしょうか?本稿では、製品、事業環境、競合という視点から、村田製作所の好決算の要因を分析して参ります。

村田が得意とする製品

村田製作所の製品別は図1の通りとなります。図からわかるのは、コンデンサと通信モジュールが全体の3分の2弱を占め、この2製品の伸び率が高いことです。

図1 村田製作所の製品別売上高                          (単位:億円)

製品名

売上高

全体比

コンデンサ

2,766  (+479)

32.8%

圧電製品

962    (+156)

11.4%

その他コンポーネント

1,566  (+177)

18.6%

通信モジュール

2,600  (+771)

30.8%

電源他モジュール

543    (+70)

6.4%

製品売上高計

8,436  (+1,653)

100.0%

出典:村田製作所IR情報より筆者作成

コンデンサとは、電気を蓄えて放出し、それによって電圧を安定させる役割があります。携帯電話やスマートフォン等のICはわずかな電圧変動も誤作動の原因になってしまいます。ゆえに、コンデンサを使うことで安定した電圧の電力を得ることができます。加えて、コンデンサには一定の周波数の電流のみを流す機能もあり、電波による通信を行う携帯電話などでは必須の部品となっています。なお、一つの携帯電話には約250個のコンデンサが使われています。

通信モジュール部品の中には、Bluetoothを使った無線モジュール。Wifiモジュール等です。エレクトロニクス回路を1つのセラミックブロックに組み込んだものになります。要は、スマートフォンやタブレット端末でBluetooth通信やWifi通信を可能にするための製品がセットになったものです。

村田製作所の製品別売上を見ると、基幹部品であるコンデンサ、コンデンサから発展した付加価値の高い通信モジュールの2つが主力であることが伺えます。