トランプ大統領は3月28日、地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名した。オバマ前政権の目玉政策の見直しを狙う新たな動きである。二酸化炭素(CO2)排出量を規制する国際的枠組み「パリ協定」にも重大な影響を及ぼしかねない。米国の大手メディアは一斉にこれを批判。一部の石炭関連企業や炭鉱労働者は賛同しているが、市場、エネルギー業界からは疑問の声が上がっている。

トランプ氏は「エネルギー新時代」と強気

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(写真=JStone/Shutterstock.com)

トランプ氏は同夜早速Twitterで、「米国エネルギーの新時代」と宣言、あわせて15分余りにわたるビデオ声明を掲載した。ここで火力発電所を念頭に置いてCO2排出規制などを定めたオバマ政権の重要政策「クリーンパワー計画」の廃止を明言した。さらに環境規制を緩和して、化石燃料や原子力エネルギーの復権を含めたエネルギー政策の見直しを打ち出した。

ニューヨークタイムズ紙は早速これを批判、「化石燃料の多くの経営者はトランプ氏を歓迎しているが、市場動向や国家イニシアチブは、石炭のライバルである特に天然ガスや再生可能エネルギーを重視していることから、彼らの喜びも抑えられたものになる」と指摘した。大手石炭生産者のクラウドピーク・エナジー社は「長期的な決定を行う際に公益事業は、長期的に確実な経済とニーズに基づいてする」とコメントしている。

再生可能エネルギーへのシフトは続く