信託銀行とは?日本における信託銀行の概要

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信託銀行の行う主要業務の中に信託というものがありますが、信託の意味はその名の通り信じて託すということで、自分自身の持っている財産を相手の名義にして託すということです。機能としては他人名義の財産を自分の名義=信託銀行の名義として運用します。また、証券会社などが顧客から預かった資産を信託銀行に預けますが、これは投資家からの預かった資産と証券会社自身の財産とをはっきり分離するための方法として行われます。

こうした分別管理は金融安定化のために必要不可欠な取引となっており、他にも信託銀行の業務として、上場企業の株式の管理などがあげられます。最近信託銀行で人気なのは、教育資金贈与信託というもので、将来的に自分の孫への教育資金として贈与するための信託などが相続対策として利用されています。相続に関する部分に関心が高い人には多く利用されている銀行と言えるでしょう。こうした信託銀行の中で6社を資産合計のランキング形式でピックアップしてみました。

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信託銀行の資産合計ランキング (単位:億円)

銀行名 日本マスタートラスト信託銀行 日本カストディ銀行
三菱UFJ信託銀行

三井住友信託銀行

みずほ信託銀行

野村信託銀行
特徴 GPIFや大口の金融機関の有価証券資産を運用 大口の金融機関の有価証券資産を運用 不動産関連のサービスや投資信託に特化
独自の投資商品を多数展開
日本最大の金融グループ
年金信託や資産管理において高い専門性
大企業や海外顧客に対してもサービスを提供
相続対策など個人顧客向けの高度な財務プランニングサービスにも特化
資産運用と金融市場に深い知識を持つ野村グループ
カスタマイズされた金融ソリューション
対個人サービス 個人向けサービスは提供していない 個人向けサービスは積極的に行っていない 投資商品 住宅ローン 相続 不動産 各種資産運用 ローン 資産管理 生命保険 不動産 投資商品 生命保険 相続 不動産 バンキングサービス Webローン 外貨預金 相続
対法人サービス 法人向けサービスは提供していない 法人向けサービスは積極的に行っていない ファイナンス業務 コンサルティング業務 株式公開の補助 不動産業務 ファイナンス業務 コンサルティング業務 不動産業務 企業年金業務 証券信託業務 年金業務 資産運用業務 不動産業務 資産管理業務 証券代行業務 銀行業務 信託業務 証券代行業務
S&P長期格付け A A-(2022) A A A A-
貸出金 0 0 12,482 24,149 5,506 3,083
有価証券 3,534,595 1,388,866 726,160 8,379 416 62,583
投資信託有価証券 0 801,490 0 0 0 206,736
投資信託外国投資 326,194 399,798 0 0 0 101,028
信託受益権 54,008 745,854 1,310,548 1,880,388 727,570 0
受託有価証券 51,858 417,933 36,963 207 4,936 11,105
金銭債権 67,277 127,965 332,011 232,081 123,043 740
有形固定資産 0 0 216,271 248,080 111,973 0
無形固定資産 0 0 1,741 2,351 3,455 0
その他債権 59,730 94,082 33,757 109,094 2,684 4,856
コールローン 151,000 75,447 45,468 0 0 13,110
銀行勘定貸 40,362 89,875 97,859 47,948 10,833 4,367
現金預け金 62,326 140,637 71,075 9,308 5,205 1,681
資産合計 4,347,350 4,281,946 2,884,334 2,561,987 995,623 409,290

日本マスタートラスト信託銀行の概要と特徴

日本マスタートラスト信託銀行株式会社は、資産管理業務に特化した信託銀行です。2000年に設立され、現在は三菱UFJ信託銀行株式会社、日本生命保険株式会社、明治安田生命保険株式会社、農中信託銀行株式会社の4つの金融機関が共同で株式を保有しています。
株主である金融機関の有価証券や生命保険、GPIFから委託された年金などの有価証券の運用を行い利益を上げています。また、個人や法人の口座は開設することができません。
参考:https://www.gpif.go.jp/info/procurement/pdf/h30_contract02.pdf
主な業務内容は以下の通りです。
・証券保管振替業務: 株式や債券などの有価証券を安全に保管し、取引を円滑にするための業務
・資産運用管理業務: 機関投資家から預かった資金を運用し、収益を上げていく業務
・信託業務: 相続や遺贈、財産管理など、様々な信託業務
・法人・個人向け業務:資産管理業務に特化した金融機関であり、中小企業向け貸出および住宅ローンを含め、企業、個人向け貸出業務は行っていません。

日本マスタートラスト信託銀行の特徴は以下の通りです。
・国内最大級の資産管理残高: 2024年3月末時点で、約703兆円の資産を管理している国内最大級の資産管理業務専門の信託銀行です。国民の金融資産約2121兆円のうち約3割を運用している計算になります。
・豊富な経験と実績: 20年以上の経験と実績に基づき、高度な資産管理サービスを提供しています。 日本マスタートラスト信託銀行:https://www.mastertrust.co.jp/

日本カストディ銀行の概要と特徴

株式会社日本カストディ銀行は、有価証券の保管や管理事務を行う資産管理業務に特化する日本の銀行(信託銀行)です。
設立は2000年で、りそな銀行、三井住友トラスト・ホールディングス系列の日本トラスティ・サービス信託銀行(JTSB)とみずほフィナンシャルグループ系列の資産管理サービス信託銀行(TCSB)の経営統合により発足しました。
2020年に日本トラスティ・サービス信託銀行から日本カストディ銀行に名称変更されました。三井住友トラスト・ホールディングス、みずほ信託銀行の証券投資信託、年金信託等の信託財産などの信託業務の一部は、日本カストディ銀行に業務を再委託されています。
主に金融機関から信託業務を行っており、個人、法人の口座開設は積極的には行っていません。
参考:https://www.smtb.jp/business/instrument/management/scale/about
参考:https://www.mizuho-tb.co.jp/corporate/nenkin/kakutei/mhtb_shisan_kanri.html 主な業務内容は以下の通りです。
・証券保管振替業務: 株式や債券などの有価証券を安全に保管し、取引を円滑にするための業務
・資産運用管理業務: 機関投資家から預かった資金を運用し、収益を上げていく業務
・信託業務: 相続や遺贈、財産管理など、様々な信託業務
・法人・個人向け業務:資産管理業務に特化した金融機関であり、企業、個人向けの口座開設は積極的には行っていません。
日本カストディ銀行の特徴は以下の通りです。
国内最大級の資産管理残高: 2023年3月末時点で、652兆円の資産を管理している国内最大級の資産管理業務専門の信託銀行です。
豊富な経験と実績: 20年以上の経験と実績に基づき、高度な資産管理サービスを提供しています。 日本カストディ銀行:https://www.custody.jp/

三菱UFJ信託銀行の概要と特徴

三菱UFJ信託銀行株式会社は、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の信託銀行です。
2005年に三菱信託銀行株式会社とUFJ信託銀行株式会社が合併して設立されました。
三菱UFJ信託銀行株式会社では資産運用口座によるサービスとして、専用口座による保護預かりに、投資一任運用を付加した資産運用管理のサービスを提供しており、これは信託銀行初の試みです。
愛称・番頭さんで提供している資産運用口座は専門のコンサルタントであるセカンドライフ・プランナーが、顧客の資金特性、リスク許容度、投資目標、などを分析し、投資環境や運用状況を説明してくれます。
顧客の資産運用に関するニーズや不安部分を的確にとらえて、そのニーズに合った資産運用状況報告書をもとに最適と言えるポートフォリオを提供し運用状況を定期的に報告してくれます。
主な業務内容は以下の通りです。
・個人のお客さま向け業務: 相続・遺贈、資産運用、住宅ローン、預金など
・法人のお客さま向け業務: 資産運用、債券発行、為替取引など
・国際業務: 海外拠点を通じて、海外企業や投資家向けに各種サービスを提供
三菱UFJ信託銀行の特徴は以下の通りです。 国内最大級の信託銀行: 三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の国内最大級の信託銀行です。
豊富な商品・サービス: 個人のお客さまから法人のお客さま、そして海外のお客さままで、幅広いニーズに対応した商品・サービスを提供しています。
グローバルなネットワーク: 国内:51(支店48、出張所3) 海外: 5(支店4、駐在員事務所1)に拠点を持つ、グローバルな金融機関です。
参考情報
三菱UFJ信託銀行株式会社: https://www.tr.mufg.jp/

三井住友トラスト・ホールディングスの概要と特徴

三井住友トラスト・ホールディングス株式会社は、三井住友フィナンシャルグループ傘下の銀行持株会社です。
2002年に中央三井トラスト・ホールディングス株式会社と住友信託銀行株式会社が合併して設立されました。
三井住友信託銀行は、知名度が高いだけでなく知識豊富な専門スタッフが揃っており、預貯金や投資信託・外貨預金だけでなく、相続や不動産などについても総合的に相談できることが魅力の銀行です。
顧客の要望に応じて、個別ブースでの対応でプライバシーを守る相談業務を行うことができます。
また、実際相談したいけど窓口に行く時間がないという人や、近くに三井住友信託銀行がないという人のために電話やインターネットで相談業務も提供しています。ただし、利用するには三井住友信託ダイレクトに入会することが条件となっています。
主な事業内容は以下の通りです。
・信託銀行事業: 三井住友信託銀行株式会社を傘下に置く信託銀行事業。個人のお客さま向けには、相続・遺贈、資産運用、住宅ローン、預金などを、法人のお客さま向けには、資産運用、債券発行、為替取引などを提供しています。
・アセットマネジメント事業: 三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社を傘下に置くアセットマネジメント事業。投資信託や年金商品などを開発・販売しています。
・不動産事業: 三井住友トラスト不動産株式会社を傘下に置く不動産事業。オフィスビルや住宅などの賃貸・売買、不動産投資ファンドの運用などを手がけています。
三井住友トラスト・ホールディングスの特徴は以下の通りです。
国内最大級の金融グループの一員: 三井住友フィナンシャルグループ傘下として、国内最大級の金融グループの一員です。
幅広い事業展開: 信託銀行事業、アセットマネジメント事業、不動産事業など、幅広い事業を展開しています。
グローバルなネットワーク: 国内:148 海外:18に拠点を持つグローバルな金融グループです。
参考情報
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社: https://www.smth.jp/

みずほ信託銀行の概要と特徴

みずほ信託銀行株式会社は、みずほフィナンシャルグループ傘下の信託銀行です。2000年に第一勧銀信託銀行株式会社、富士信託銀行株式会社、興銀信託銀行株式会社が合併して設立されました。
みずほ信託銀行は、個人のお客さま向けには、ニーズに合わせた様々な資産運用商品、住宅ローン、預金などを、法人のお客さま向けには、機関投資家向けに様々な資産運用ソリューション、債券発行、為替取引などを提供しています。
主な業務内容は以下の通りです。
・個人のお客さま向け業務: 相続・遺贈、資産運用、住宅ローン、預金など
・法人のお客さま向け業務: 資産運用、債券発行、為替取引など
みずほ信託銀行の特徴は以下の通りです。
・国内最大級の信託銀行: みずほフィナンシャルグループ傘下として、国内最大級の信託銀行です。
・豊富な商品・サービス: 個人のお客さまから法人のお客さま、そして海外のお客さままで、幅広いニーズに対応した商品・サービスを提供しています。
・国内のネットワーク: 日本国内に57の支店を持つ金融機関です。
参考情報
・みずほ信託銀行株式会社: https://www.mizuho-tb.co.jp/

野村信託銀行の概要と特徴

野村信託銀行株式会社は、野村ホールディングス傘下の信託銀行です。1993年に設立されました。野村ホールディングス自体は銀行を持っておらず、信託銀行が総合的な銀行の役割を果たしています。そのため、個人向けの住宅ローンや外貨預金などのサービスも提供しています。
主な業務内容は以下の通りです。
個人のお客さま向け業務: 相続、外貨預金、資産運用、ローン、預金など
法人のお客さま向け業務: 資産運用、投資信託受託業務、資産流動化など
国際業務: 海外拠点を通じて、海外企業や投資家向けに各種サービスを提供
野村信託銀行の特徴は以下の通りです。
野村グループの一員: 野村ホールディングス傘下として、野村グループの一員です。
資産運用に特化: 個人のお客さま向けには、野村證券のノウハウを活用した資産運用商品を、法人のお客さま向けには、機関投資家向けに様々な資産運用ソリューションを提供しています。
グローバルなネットワーク: 野村グループのネットワークを活用し、海外のお客さまにもサービスを提供しています。
参考情報
野村信託銀行株式会社: https://www.nomura-trust.co.jp/

信託銀行を利用することにメリットがある人とは?

信託銀行というと法人向けの銀行に思えますが、個人向けのサービスも盛んに行っており、銀行預金とほぼ同じである金銭信託、貸付信託などは有名です。このほかにも土地などの不動産を有する投資家の為に運用スキームとしての土地信託、遺産分割に関する遺言信託などのサービスも用意されています。ただ、そういった面以外の銀行としての機能(ATMによる決済や金融機関同士の決済)を目的にする場合には、やはり既存の都市銀行や地方銀行の方が圧倒的に強いと言えます。信託銀行に口座を持つことをオススメな人として、所有する土地の有効活用に迷っている人や将来自分の持っている資産に対する遺産相続に関して不安がある人などには良いと言えます。

さらに情報を知りたい方へ

キャッシュフローの最大化を図るには、節税はもちろん、さらに効果的な資産運用サービスを知っておく必要がある。 詳しい情報をご希望の方は、株式会社ZUU 富裕層向け金融サービス専用フォームからのお問い合わせをおすすめしたい。

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【保存版】2019年、知らないと損する「お金のはなし」
相続対策に失敗した「元富裕層」の悲惨な末路

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