(本記事は、新井直之氏の著書『執事が目にした!大富豪がお金を生み出す時間術』青春出版社、2018年2月20日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
預金を増やす意味はどこにあるか?
通帳の明細を見て、お金の出入りを確認するだけでは、もったいないことをなさっているかもしれません。大富豪のみなさまも預金に対して同じように時間を使っていらっしゃいます。
しかし、一般の方と違うのはより預金ですらもお金を引き寄せる時間の使い方をなさっていることです。
では、どのような銀行とお付き合いをされているか申し上げますと、大きく3つのタイプに分かれます。
メガバンクと呼ばれる「大手都市銀行」やその系列の「信託銀行」。富裕層向けのサービスが充実したスイスの「プライベートバンク」。そして、地元の「地方銀行や信用金庫」です。
メガバンクは取引先への送金など事業での決済、プライベートバンクには資産管理を任せ、日常的な預貯金などのメインバンクには、地方銀行や信用金庫を利用されています。
意外と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際に私どもがお仕えしている大富豪の中にも、地方銀行や信用金庫をメインバンクとされている方が多くいらっしゃいます。
なぜなのかを明かす前に、1つ質問があります。
あなたは銀行での貯金額を増やすことの意味はどこにあると考えますか?
明日への安心のためでしょうか?それとも通帳の数字が増えていく充実感のためでしょうか?
大富豪の答えは「将来、お金を借りるときのため」です。
具体的に言えば、勝負どころの事業資金の調達や不動産投資などに使うローンの融資といった場面です。
こう聞くと、自分には無関係と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、マイホームの購入時の住宅ローン、子どもの教育資金を補充する学資ローンなど、多くの人が人生の節目で「お金を借りる」経験をされています。その際、どこの銀行との付き合いが有利かと考えると、地方銀行や信用銀行が浮上するのです。
メガバンクでは個人の貯金は融資審査にはほぼ影響を与えませんが、地方銀行や信用金庫ならば長期にわたって定期預金をしていることが信用となり、査定時にプラスに働きます。
また、信用金庫では入金、出金時に営業担当者が直接、自宅や事務所へ足を運んでくれます。
メインバンクは世間的な認知度が高く、支店やATMが多く便利です。しかし、メガバンクの考えるお客様は基本的に大手法人。最近でこそ、個人サービスも充実してきましたが、ベースには法人に勤める人へのサービスの一環として、個人口座を管理している感覚があります。
一方、地方銀行、信用金庫は地元密着。預金してくれる個人一人ひとりがお客様です。
例えば、3000万円の貯金をするとします。メガバンクは投資信託を勧めるパンフレットを渡してくる程度。しかし、地方銀行や信用金庫の窓口ならば、支店長室や応接室へ通され、営業担当者の付く「上客」として認定されます。
同じ預金額で不特定多数の1人となるか、重要なお客様と認定されるか。私自身、信用金庫をメインバンクにするようになってから、後者の心地よさを実感しています。
盆暮れにはあいさつの品を手に営業担当者や支店長があいさつにいらっしゃいます。それ以外にも、経営者向けのセミナーや、その信用金庫の重要取引先企業が集まるパーティや会食などにお招き頂いたりと、お金では得ることができないサービスを提供してくれます。
些細なことかもしれませんが、ただ預けているだけでこれだけの差がつくのです。
ただ単にお金を寝かしている時間にはなさらないのも、大富豪がお金を生み出す秘密なのです。
いざというときにムダな時間を過ごさない大富豪の「保険」
私が会社員時代、保険の営業マンがオフィスにやってくると、「また営業トークか......」と億劫な気持ちになったものです。
「いま」やらなければいけない仕事が山積みなのに、起きるかどうかわからない「未来」の話しをされるのは時間のムダのように感じたからです。
ところが、大富豪の皆さんは保険の営業マンを笑顔で迎えます。
なぜなら、彼らが「儲け話」を持ってくるからです。
どうして保険が儲け話になるかというと、じつは、生命保険は税金対策に優れた商品だからです。
多くの大富豪はご自分の経営する事業会社のほかに、資産管理会社を持っています。この資産管理会社が管理している支払人、保険金の受取人も資産管理会社にして加入すると、年間の保険料の全額~2分の1を必要経費として計上できるようになるのです。
例えば、私のお仕えする大富豪は10億円の生命保険に加入し、毎年5000万円近い保険料を支払っています。
必要経費として計上すれば、掛け金で税金が控除されます。
しかも、亡くなったときには当然、満額の保険金が資産管理会社に支払われます。資産管理会社も家族に相続されるので、実質、家族に保険金が支払われるのと同じです。
相続税額を減らす効果もあるのです。
また、法人向けの逓増定期保険という、退職金制度と組み合わせた貯蓄型の保険商品もあり、お金持ちは専門家の知恵を借りて、税金対策を行っています。
一見、会社員には関係のない仕組みのように感じるかもしれません。
しかし、何が本当の得なのかを見極めるためには、保険ほどいい商品はないのです。
例えば、自動車保険をはじめとする、損害保険。これを大富豪は、保障の安心ではなく、事故の際に生じる交渉や手続きを保険会社や弁護士に任せられる、時間や手間の節約になることを評価しています。
逆に医療保険は未加入で、人間ドッグやPET検査などの病気の予防に力を入れます。
まだ見ぬ、いざというときの備え。
そのときすらもムダにしないように、厳選した方法をすでにお持ちになっているのです。
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