(本記事は、新井直之氏の著書『執事が目にした!大富豪がお金を生み出す時間術』青春出版社、2018年2月20日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

大富豪の休みは何日ある?

あるとき、お仕えしている大富豪の方から、「カレンダーを作ってくれ」とのご用命がありました。不思議に思い、理由を伺いました。

「市販品には色がついているだろう。土曜日は青、日祝日は赤。これが気に入らない。全部が黒文字のカレンダーを作りなさい。色がついていると目を引く方に引っ張られてしまう。休みは自分で決めたいんだ」

とおっしゃいます。

じつは、私ども執事のお仕えする大富豪のほとんどは「周期的に休む」という概念をお持ちではありません。

つい最近も「ハワイに行ってくる」と言われるので、休暇かと思いきや、商談を軸にしながら前後に余裕を持ったスケジュールを組んだ、仕事中心のご旅行でした。

私どもは仕事と休みを区分けしますが、大富豪のみなさまは公私混同が基本。

これは自分で時間をコントロールできる立場だからこそではありますが、時間への考え方はとても勉強になります。

決められた予定のために時間を振り分けるのと、自分で決めた予定のために時間の使い方を考えるのとでは取り組み方も変わってくるでしょう。

自分で決めたことに時間を使うことは仕事であれ休みであれ、自主的に行動しますから、同じ時間の使い方でも密度の濃い時間を過ごすことができるのではないでしょうか。

後悔する休日、完全にリセットできる休日の違い

お金を生み出す時間術
(画像=Tom Kuest - Fotograf/Shutterstock.com)

お金持ちの休日といえばパーティーを開いたり、海外へ行くなど贅沢に過ごすイメージがあるかもしれません。しかし、贅沢は贅沢でもまったく違う意味の贅沢な時間を過ごされているのです。

基本的にはのんびり読書をされるとか、家族との交流にお時間を使われるケースがほとんどです。遠くに旅行に行っても、観光地や地元の名物など大した興味がなかったら、あくせくまわるようなことはしません。

「何もしない」という非常に贅沢な時間を過ごされています。

この何もしないという本当のお休みを通じて、ご自身を1回リセットされ、取り組んでいる事業を客観視し、新しい発想や新しい事業のヒントを見出していらっしゃるように思えます。

また、ご自身がお持ちの山林にテントを張り、電気、ガス、水道、携帯電話もない環境で、畑を耕し、1~2週間、仙人のような生活をしている方もいらっしゃいます。

豪華絢爛な暮らしは、ある一定の天井まで行くと面白みがなくなると聞きます。

だからこそ、普段味わっている毎日の便利さを休みの日にリセットし、「日常のありがたさ」を噛みしめ、働く活力源にしているのではないでしょうか。

「何もしないまま休日が終わってしまった......」

過ぎ去った時間を後悔する休日の過ごし方をされた経験、みなさまにもあるかもしれません。

同じ何もしない休息の時間ですが、何のための休息の時間なのかを意識するだけで、休みの時間の充足度、そして休み明けの活力が大きく変わってくることと思います。

教育費にお金をかけるのは勉強のためよりも...

大富豪の子、といえば子どもが小さいころから私立の名門校に入れ、高学歴エリートへと育てていくという印象をお持ちかもしれません。しかし、その狙いは学力ではなく別のところにあるのでございます。

以前、私はとある大富豪の御子息の送迎でスイスにあるボーディングスクール(寄宿学校)を訪れました。ちょうど夏休み明けのタイミングで、最寄りの空港は各国のプライベートジェットでいっぱいでした。

日本の一般的なお受験のイメージは学習塾で勉強し、いい学校に入学させるというものです。

ところがお金持ちは教育方針として、勉強よりも人脈を重視されます。

来年の受験、数年後の就職ではなく、20年後、30年後の御子息の将来を見据え、そのための準備として国内の小中高大一貫校やイギリス、スイス、アメリカ、カナダなどのボーディングスクールを選ばれるのです。

その学費は年間で2000万円。この他に寮費がかかり、卒業までは億の世界です。

それだけの投資をおこなうのは、長い時間同じ学び舎で過ごすことで生まれる深い人脈に価値を見出されているからです。

国内の有名校や海外のボーディングスクールには、一定の財力のあるいい家の御子息や有力企業の二代目、三代目、飛び抜けた天才児が集まります。

彼らと学び、友情を育み、人脈が築かれれば、20年後、30年後に倒産や破産といった危機が訪れても、その人脈を活かしてゼロから這い上がれるという考え方です。

また、アメフトやアイスホッケーなどのチームスポーツ、テニスやゴルフといったクラブハウス文化のある競技に触れさせ、連帯感、社交力、競争力を育ませます。

ほかにも、海外への短期留学や夏休みのサマースクールなど、「同じ釜の飯を食った仲」となる体験型、寄宿型の習い事を重視し、お受験用の勉強合宿はお選びになりません。

学力を伸ばすことに時間をかけるよりも、人脈という財産を築くことに時間をかける、これが大富豪の方々の教育方針なのです。

お金を生み出す時間術
新井直之(あらいなおゆき)
日本バトラー&コンシェルジュ株式会社代表取締役社長。フォーブス誌世界大富豪ランキングトップ10に入る大富豪、日本国内外の超富裕層を顧客に持つ同社の代表を務める傍ら、企業向けに富裕層ビジネス、顧客満足度向上、ホスピタリティに関する講演、研修、コンサルティング業務を行なっている。『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』(幻冬舎)など著書多数。著書は海外でも翻訳出版され、累計発行部数は30万部を超える。(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)