有期契約労働者として6カ月以上勤続する男女を対象に調査したところ、パート・アルバイトの67.7%、また契約社員の84.5%に無期雇用転換の意向があることが分かった。

「無期雇用に転換したい」と答えた人に転換後について質問したところ、「一般的な正社員や限定正社員と同等の労働条件や待遇になりたい」と答えたパート・アルバイトは70.9%、契約社員は85.0%だった。当然のことながら、無期雇用への転換後は現状よりも条件や待遇がアップすることを望む人は多い。

総合人材情報サービスを展開するアイデムの「人と仕事研究所」が行った調査結果によるもの。パート・アルバイト・契約社員として6カ月以上勤続する20代~40代の男女679人と、事業所担当者554人を対象に、無期雇用転換についての調査を行っている。

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(写真=PIXTA)

改正法「知らない」、パート・アルバイトの67.8%

無期雇用転換について確認しておこう。2013年4月に労働契約法が改正され、有期労働契約の更新を繰り返して勤務の通算が5年を超えたときは、労働者が希望すれば無期労働契約に転換することができる、というルールができた。

この制度は、2013年4月以降の契約が対象となる。無期雇用転換ルールが適用された契約が発生するのは、施行から5年後の2018年4月以降だ。新しいルールでの契約更新時期が間近に迫っているが、労働者の間ではどれだけ認知されているのだろうか。

前述の調査で「法律や改正法について知っているか」とたずねたところ、パート・アルバイトでは67.8%、契約社員では38.1%が「知らない」と答えた。パート・アルバイトでの認知度は低いが、契約社員では6割以上が認知していることが分かる。

契約社員の場合、パート・アルバイトとは違いフルタイムで働く人が多い。正社員と同じ時間帯で同じような仕事をこなしながら、待遇や条件の違いに不満を感じることもあるだろう。また、不安定な雇用形態から脱却したいと考える人も多いと思われる。これらの理由から雇用契約にも詳しくなり、改正法についての認知度も高くなっているのではないだろうか。

「申し込みがあれば無期雇用に転換する」事業所は3割強

事業所の立場から見ていこう。調査では、対象の事業所に、パート・アルバイト・契約社員の無期雇用転換への対応について質問をしている。

パート・アルバイトへの対応では、「申し込みがあれば無期雇用に転換」との回答が35.5%で最も多く、次いで「わからない」18.1%、「無期雇用転換の基準を作り、満たした者は5年未満でも転換」12.0%、「更新の上限を5年未満とし、無期雇用転換は行わない」9.5%となっている。

契約社員への対応では、「申し込みがあれば無期雇用に転換」が33.6%、「わからない」が20.9%、「無期雇用転換の基準を作り、満たした者は5年未満でも転換」が13.6%、「契約更新の基準を作る・厳格化するなどし、満たさないものは5年未満で雇い止め」が11.5%となっている。

この結果からすると、事業者側は無期雇用に対してあまり積極的ではないようだ。「申し込みがあれば無期雇用に転換」との回答が最も多いのは確かだが、その割合は3割余り。「無期雇用転換は行わない」とした事業所は約15%もあり、「わからない」という回答が約20%あるのも気になるところだ。

パート・アルバイトは無期雇用転換後も処遇変わらず?

無期雇用転換したあとの労働条件や待遇についてはどう考えているのだろうか。調査では、無期転換する意向のある事業所に「労働時間」「賃金」「仕事内容」「福利厚生」について質問している。

パート・アルバイトの処遇では全ての項目で「無期雇用転換前と変更なし」の回答が最も多く、それぞれ5割前後の割合を占めた。契約社員の処遇では、「無期雇用転換前と変更なし」と「正社員に近づける」の回答数が拮抗しており、各項目ともに4割前後の回答割合となっている。

無期雇用転換の先にあるもの

現状では、労働者と事業所の双方のとらえ方にはずいぶん温度差があるように思える。パート・アルバイトの67.7%、契約社員の84.5%に無期雇用転換の意向がある一方で、「申し込みがあれば無期雇用に転換する」とした事業所は3割強だ。

また「正社員と同等の労働条件や待遇を希望する」パート・アルバイトは70.9%、契約社員は85.0%であるのに対して、「無期雇用転換前と処遇に変更なし」とする事業所は多数である。

政府としては非正規雇用労働者を減らしたい。事業所はできるだけ人件費を抑えたい。労働者は良い条件で働きたい。それぞれの思惑が一致する着地点は見つかるだろうか。(渡邊祐子、フリーライター)

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