地方創生とは、都市部への一極集中化を避け、地方の活性化を狙いとした政府や自治体を主導とした取組みである。地域の特性や資源を最大限に生かして、若年層の雇用や農林水産物の輸出につながる取組みを行う自治体には交付金制度が設けられている。

こういった行政の地方創生の流れは、地域の振興につながり、新しい事業にチャレンジする機会を提供する。特に、クラウドファンディングなどの仕組みを活用すれば、従来は資金調達に懸念があったビジネスアイデアも実現することができる可能性がある。

クラウドファンディングとは

Crowd Funding
(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

クラウドファンディングは、インターネットを利用した新しい形の資金調達方法として現在注目を浴びている。資金調達を公募する企画者はプラットフォーム上で自身のプロジェクトをPRし、個人は応援したいプロジェクトに対して資金支援を行うシステムのことだ。

今では銀行などの金融機関もクラウドファンディングを資金調達の一つとして後押しをしている。一般的に銀行やファンドなどの貸付や出資を受けるためには、明確な投資回収のプランや事業売却を目的とした計画が必要だ。しかし、クラウドファンディングは利益の追求を目的としないものもあるため、こういった地方創生のような社会問題の解決を第一の目的にした事業のための資金調達には最適といえる。

総務省が手がけるクラウドファンディング事業

このような優れた特性を持ったクラウドファンディングだが、政府も注目し実際に動き出している。

ガバメントクラウドファンディングという言葉を耳にしたことはあるだろうか。その名のとおり政府が主導で行うクラウドファンディングサービスだ。民間のクラウドファンディングと違い、資金の支出が寄付ということになり、ふるさと納税の対象となる。ガバメントクラウドファンディングでは、社会貢献と節税が同時にできるということである。

ガバメントクラウドファンディングのWebサイトでは、いわゆる「ふるさと納税」と同様に、年収別の寄付額の目安を家族構成やもらいたい物産などから簡易シミュレーションを行うことができ、寄付を活発化するために個人のメリットも考えた仕組みになっている。

クラウドファンディングが拓く地方創生の未来

このように民間や政府主導でもサービスの拡大をみせているクラウドファンディングだが、少しWebサイトを覗いてみるだけでもさまざまな取り組みが行われていることがわかる。

例えば、九州のとある県の若者生産者の実情や地元のおいしい食べ物や物産の情報を発信するための雑誌を創刊するためのプロジェクトがある。

一次産業における生産者人口の減少および高齢化の問題にスポットライトを当てていて、その解決策として若い生産者たちが情報発信に取り組んでいる。雑誌の付録として2ヵ月に1回、地元の新鮮な野菜などが届けられて、該当地域のPRにもなる非常にユニークなアイデアだ。

このように、なかなか銀行や投資家が手の出しづらい、規模は大きくないものの、社会性や地域性を帯びた事業にはクラウドファンディングが有効策となる可能性がある。今後サービスが拡大していけば、クラウドファンディングは地方創生の推進役となるだろうと期待される。

投資の分野でも新基準となりうるクラウドファンディング

テクノロジーの進化はビジネスの世界をどんどん加速させて、投資や資金調達のあり方を変えようとしている。クラウドファンディングはその一例といえるだろう。

特に、地方経済の活性化が至上命題とされる現代では、大きな期待が寄せられており、資金を提供してくれる個人に対して、より多くの社会問題に触れてもらい、いかに社会貢献のメリットを享受してもらうかがクラウドファンディングの使命となりそうだ。(提供: みんなの投資online

【オススメ記事 みんなの投資online】
お金を増やしたい人が知っておきたい「資産形成」のポイント
不動産を保有したいけど高すぎる……何か良い手段は?
「不動産の小口化」ってREITとどこが違うの?
海外不動産を持つメリットとデメリットとは?
広がるクラウドファンディング その種類と仕組みを紹介