3月3日に任天堂 <7974> から新型ゲームハードの「ニンテンドースイッチ」が発売された。前評判の悪さから一転し、販売一カ月を経った今でも品薄状態が続いている。

ニンテンドースイッチとは――携帯できる据置ゲーム機

任天堂,ニンテンドースイッチ
(画像=任天堂Webサイトより)

「Wii U」や「ニンテンドー3DS」など、数あるゲーム機を発売している任天堂は最新ゲーム機として「ニンテンドースイッチ」を発売した。特徴はそのキャッチコピー「カタチを変えてどこへでも」にある通り、据え置き型のようで携帯可能なゲーム機である点。

「ニンテンドースイッチ本体」には6.2インチのタッチスクリーンが搭載されており、そのモニターにゲーム映像を映し出すことができる。そして「ニンテンドースイッチドック」と呼ばれるに端末にスイッチ本体を置けば、テレビ画面に映像を出力することも可能だ。

ゲームコントローラーは「ジョイコン(Joy-Con)」と呼ばれており、2つのコントローラーを本体に直接装着してゲームをしたり(携帯モード)、コントローラーを分け合って遊んだり(テーブルモード)できる。また「ジョイコングリップ」に装着してゲームすること(TVモード)もでき、1台でさまざまな遊び方ができる点に魅力がある。

ゲームソフトは「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」など人気シリーズなどがリリースされており、今後はさらに任天堂の人気タイトルが登場する予定となっている。

前評判はイマイチで発表後に株価は大幅に下落した

ニンテンドースイッチについて公開したのは2016年10月20日のことだ。ニュースリリースにて「ニンテンドースイッチ」という正式名称に決定しことを発表した。その結果、翌日21日の任天堂の株価は大幅に下落して、期待感を裏切る形となったことを決定づけた。

さらに2017年1月13日には東京ビッグサイトにて「Nintendo Switch プレゼンテーション 2017」が開催された。この様子はライブ中継されて、誰もがその様子を見ることができた。

プレゼンテーション中は人気タイトルの発表で一時株価は上昇したが、それも一時のことで最終的には下落に終わった。やはりここでも、市場の期待に応えられなかったことが要因と見られている。

ニンテンドースイッチはこうした前評判のもとに2017年3月3日の発売日を迎えることになったのだ。

発売後に一転して品切れ状態が続いているワケとは?

市場の前評判こそ悪かったものの、実際に発売し始めた当初からニンテンドースイッチは品切れ状態が続いている。投資家こそ低評価を下していたものの、プレイヤーからは高く評価されていると言えるだろう。これにともない株価も上昇傾向にある。

ニンテンドースイッチが人気を集めている理由はいくつかある。まずは「任天堂ファン」である。これはそもそも任天堂ブランドが好きで、新型ハードが発売されるから購入するタイプだ。とある国外の任天堂ファンの方は「秘密裏に開発していると噂されていた『NX』の動向を何年も追っていた」と綴るほどである。そこではプレイの感想が細かく記されており、ニンテンドースイッチへの思いが語られている。

次にそのコンセプトでもある「携帯性」である。今までの据え置き型ゲーム機の場合、当然だが屋外でゲームをすることができなかった。それがニンテンドースイッチであればどこででも遊ぶことができるのでヒットにつながっている。

実際、価格ドットコムのレビューを見ると「モダン」や「シンプル」、「コンパクト」といったデザイン性で高く評価されている。常識にとらわれないコンセプトが見事にユーザーのニーズを引き出したと言えよう。

最後に「ソフト」である。なぜゲームを買うのかと聞いたら、ほとんどの人が「やりたいソフトがあるから」と答えるだろう。任天堂ではマリオやゼルダ、スプラトゥーンなど他のメーカーではできないタイトルが数多くある。これらを楽しみにしているユーザーが購入しているのだ。

このように人気の理由は今までになかった新しいハード機であることや、やりたいゲームソフトがあるからなどが挙げられる。もちろん購入したいと思う理由は人それぞれだが、ユーザーの気持ちを見事につかんだ結果、品切れ状態を生み出せていると言えるだろう。

ニンテンドースイッチの行方は?

ニンテンドースイッチは3月3日の発売開始から1カ月で50万台以上販売しているとされており、市場では品切れ・品薄状態が続いている。しかも2次予約、3次予約もすぐに終わってしまっているようだ。

中古品でも新品とほぼ同じ価格で取引されており、しばらくの間はニンテンドースイッチの熱気がやむことはないだろう。ソフトはまだ少なく、本当に盛り上がりを見せるのはこれからだと予想される。(吉田昌弘、フリーライター)