不動産投資は株式投資やFX投資などに比べて、比較的安定しているといわれているものの、投資をする際にはあらゆる角度から精査する必要がある。不動産の性質上、資産査定する際にも必要である「デューデリジェンス」について解説する。

デューデリジェンスとは

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(写真=zenstock/Shutterstock.com)

デューデリジェンスは、直訳すると「当然支払われるべき注意義務」という意味で、一般的には企業がM&A(合併・買収)による投資をするとき、対象の企業価値を査定することを指す。不動産におけるデューデリジェンスも同じような意味で使われ、買い主が不動産投資をする際、対象不動産物件を調査することを指す。

デューデリジェンスの方法

不動産の収益性を測るためには、購入価格や賃料設定、不動産保有時の諸費用だけでは足りず、様々な側面から判断することで、より正確な物件査定が可能である。具体的な不動産のデューデリジェンスは次の3つの側面から行うことが最低限必要であり、対象物件によってはさらに細かい調査と精査を行い、総合的な判断が必要となる。

1. 経済的側面
経済的側面では、不動産の現在価値を算出する。建物調査で判明した状況をもとに修繕費用を割り出し、収益性や初期投資費用の根拠とする。また、不動産物件は物件自体の価値に加え、周辺地域の影響を受けるため、マーケット分析を行い、他物件との競争力を測る。不動産は中長期的な視点も含めた経済的価値の判断が必要となる。経済的側面の主な調査項目は、価格・賃料、マーケット分析、地域内競争力である。

2. 法的側面
不動産取引では、所有権や借地権・借家権、抵当権など様々な権利の取り決めをする必要があり、民法や借地借家法をはじめ、都市計画法や国土利用計画法など複数の法律が関係することが多い。不動産登記は、登記内容を信じて取引を行い、登記と実際が異なった場合の損害については保障されていない(公信力がない)ため、登記簿の確認はもちろん、現地調査は欠かせないポイントである。隣地境界線の問題が隠れていることもあるため、権利関係を明確にしておかなければならない。法的側面の主な調査項目は、権利関係、訴訟の有無、登記簿調査の3つである。

3. 物理的側面
書類だけでは不動産の状況がわからないため、修繕箇所の確認や有害物質使用の有無など建物内外の検査が必要となる。また地震大国の日本では地震リスク分析も欠かせない。地域によって異なる災害リスク調査や過去の土地利用によっては土壌環境調査も必要になる。物的側面の主な調査項目は、建物調査、環境調査、災害リスク分析の3つである。

デューデリジェンスで不動産価値を判定する

不動産のデューデリジェンスでは様々な検査や調査が必要であることを紹介した。これらの調査をする際には、不動産会社だけではなく、専門家レベルでは不動産鑑定士や公認会計士、土地家屋調査士など多くの専門的知識が必要となる。さらに不動産取引に関する豊富な経験があれば言うことはないだろう。

近くの不動産物件ならまだしも、魅力ある物件が身近にあるとは限らない。個人でできることは限られているため、不動産会社の知識と経験を生かした方が結果的にコストは低くなる可能性がある。何もかも任せっきりにせず、3つの側面がしっかり調査されているか、客観的根拠が備わっているか確認し、不動産取引を成功させてほしい。(提供: みんなの投資online

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