2014年11月、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が成立した。新たな住宅を建て続けるのではなく、魅力ある既存住宅を有効に活用しなければならないという意向の現れでもある。そのためには、中古住宅の情報を一元管理し、住宅価値を長期に渡って持続・向上できるかが鍵となる。そこでキーワードとなるのが「リノベーション」だ。既存住宅をリノベーションすることで、新たな価値を創造し、次世代へとつなげる役割を果たすことができる。

リノベーションとは

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(写真=Stock-Asso/Shutterstock.com)

一般社団法人リノベーション住宅推進協議会によると、リノベーションとは「中古住宅を現代のライフスタイルに合った住まいによみがえらせること。中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと」と定義されている。リノベーションには新たな価値を追加し、付加価値を向上させる意味合いがある。

「現代のライフスタイルに合った住まいによみがえらせる」ためには、どのような暮らしをしたいかという居住者の具体的な希望の把握が必要である。ライフスタイルによって、水回りや電気などのライフラインや間取りが異なるためである。居住者にとってどのような住まいが理想的か、その理想を追求して包括的な改修を行うことがリノベーションである。リノベーションの目的があいまいだと、業者とのトラブルになりかねない。また、資産価値を考えてリノベーションを行うことも大切である。どのように住宅を改修してほしいか、綿密な打ち合わせや進捗状況の確認があってこそ、結果的に希望通りのリノベーションを達成できるといえる。

リノベーションでバリューアップする方法

リノベーションでバリューアップ、つまり物件の価値を高める方法はいくつかある。リノベーションは物件の現状によっても異なるため、すべての住宅にあてはまるわけではないが、ここでは一般的な方法を紹介する。

1. 間取りを変更する
中古住宅のなかには、昔ながらの間仕切りのままのところも少なくない。子どもが独立した後の世帯に有効な手法として、間仕切りを取り除き部屋をひとつ減らすことで、開放感のある空間を演出することができる。限られた床面積でも3DKを2LDKにするなど創意工夫し、開放感を得ることができれば価値は向上する場合がある。

2. 耐震性を向上させる
築年数の古い建物は耐震性に不安を感じさせるものもある。耐震性の向上は簡単な修繕では実現できないため、大規模な修繕が必要となる。地震大国である日本において耐震性があるかどうかは売却時にも重要な要素となるため、住宅の価値を上げるポイントとなる。

3. 防寒性・断熱性、防音性を高める
室温をコントロールしやすくすることで、住みやすい環境を実現できる。そのためには、外壁を替える大掛かりな修繕以外にも、窓枠の位置を変えたり二重窓にしたり、壁や床の素材を変えるなどの手法がある。また、床や壁・窓を見直すことで生活音が響きにくい防音環境を整えることもできる。例えば、防音性を高めて楽器演奏可能物件にすれば、他の物件との差別化が図れるだろう。住まいの周辺環境によっては、西日対策や通気性の改善でより快適な住生活が可能だ。

4. 個人の好みの空間を作る
現状の間取りにとらわれず、書斎や茶室、趣味のコレクションルームなどを作ることで、居住者の価値観に合った住宅に様変わりさせることもできる。投資用物件の場合は地域性や周辺環境を踏まえ、入居者のニーズを捉えたリノベーションを行いたい。

こだわりの住宅には専門的な知識や技術も必要

リノベーションの方向性によっては、専門的な知識や技術が必要となる。現代のライフスタイルに合った、次世代へ価値の持続するリノベーションを行うためには、リノベーション専門の会社に依頼するといいだろう。現在所有している物件をリノベーションする場合と、新たに中古住宅を購入してリノベーションする場合では、バリューアップさせる手法が変わってくる場合もある。また、リノベーションを行う際は、物件の品質確保とともに修繕記録を残しておくようにしたい。それを将来の修繕や売却時に役立てることで、長期的な住宅ストックとしての役割を期待できるようになる。(提供: みんなの投資online

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