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今年も土用の丑の日がやってきました。この時期を楽しみにしている方も多いのでは?長く日本人から愛されているうなぎですが、実は近い将来、皆さんの食卓に並ばなくなる可能性があることをご存じですか?これは2014年6月、ニホンウナギが国際自然保護連合の絶滅危惧種に掲載されたためです。日本の家庭に親しまれるうなぎが絶滅危惧種に入ったことにより、今後のうなぎ市場はどう変化するのか、さまざまな情報から考察します。


絶滅危惧種掲載でも2014年シラスウナギの稚魚価格は値下がり

約5000年前からうなぎを食べていたと言われている日本人。土用の丑の日の定番メニューというべきうなぎの蒲焼きは1399年の「鈴鹿家記」という文献に記載があり、日本人とうなぎの蒲焼の歴史は、足掛け600年以上に及びます。そんな日本の食卓に馴染み深いうなぎが絶滅危惧種に掲載された…通常なら市場は大混乱となりそうな気もしますが、2014年の市場では不思議な現象が起きています。それが皆さんもよくご存知の、稚魚の豊漁、そして業者間の取引価格値下がりです。販売価格はまだまだ高止まりの傾向ですが、このニュースを聞く限り、うなぎ市場は今後数年は心配ないのではと安心する方もいらっしゃるかもしれません。ですが関係者の間からは厳しい声が聞かれています。

実は「2014年のうなぎ稚魚は豊漁」というのは、正確な表現ではありません。「近年の漁獲量の中では2014年のうなぎ稚魚は比較的豊漁」というのが、より現状に沿った表現だと言えます。水産庁の漁業養殖業統計年報によれば、1970年台には70トン近くあったシラスウナギの漁獲量は、2009年以降近年10トンを超えるかどうかという状態が続いていました。そんななか、2013年11月から2014年5月までの漁獲量が16トンと増加したため、報道各社は「豊漁」と表現しています。しかし、すでにお分かりの通り、好調だったかつての漁獲量に比べれば、その量は雲泥の差です。漁獲量が若干増加したことにより、シラスウナギの2014年の業者間取引は一時的に値下がりしましたが、長期的には続かないとの見方が大半を占めており、絶対数激減という問題を解決しないことには、数年後またシラスウナギの価格が大きく跳ね上がることは既定路線だと言えそうです。


絶滅危惧種でも販売が規制されない理由とは

そんな危機的状況を迎えるうなぎ市場ですが、ニホンウナギが絶滅危惧種に掲載された今、すぐにその販売が規制されないのはなぜなのでしょうか。これには大きく2つの理由があります。まずひとつは、IUCNレッドリストというものの特性にあります。レッドリストは今回ニホンウナギが絶滅危惧IB類に掲載されたIUCN以外にも、環境省など各国の所管政府機関が作成するものや、学術団体が作成するものなど、数種類が存在します。IUCNは世界ではじめてレッドリストを作成した国際団体として知られています。これらのレッドリストはいずれも、掲載されただけでは日本国内では法的効力を持ちません。その後の法律改正や規制などに役立てられる有力な資料になるため、結果的に法律や規制に紐づくことが多いものの、掲載有無によって法的規制がかかるものではないのです。そのため、当然販売も規制されないという側面があります。

そしてもうひとつは、シラスウナギの品種の問題です。うなぎには、ニホンウナギ以外にもいくつかの品種が存在します。2014年7月現在、レッドリストにおいてニホンウナギよりもワンランク上の絶滅危惧IA類に掲載されているヨーロッパウナギも、かつては日本市場に大量に出回っていたうなぎの一つ。実はワシントン条約の取引規制対象種となり、許可証がなければEUからの輸出が難しい状況になったため、ニホンウナギが大量に市場に出回ることになったという背景があります。

今回のニホンウナギのレッドリスト記載によって、すでに「第二のニホンウナギ」も市場に出回っています。複数の小売店ではインドネシアに生息するビカーラウナギの取り扱いが始まっており、今後はこのビカーラウナギが日本のうなぎ市場の主役になることが予想されます。こうして取り扱い品種を替えることによって、日本のうなぎ市場はなんとか供給責任を果たしていると言っても過言ではないのです。