今や将来の年金受取額の減少に備え、自己責任で資産を増やさなければならない環境にある。ここでは、資産運用の鍵と言える「アセットアロケーション」の重要性について解説する。

資産運用の鍵はアセットアロケーションにあり

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(写真=CHARAN RATTANASUPPHASIRI/Shutterstock.com)

アセットアロケーションとは「分散投資」を意味しており、分散投資によるリスク軽減を図ることがその狙いだ。資産は大きく分けると「預貯金」「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」「外貨」などの金融資産と、「不動産」「美術品」「金・プラチナ」などの実物資産がある。これらの商品特性を生かし、リスクを考慮して資産の組み合わせを考えていく。仮に国内株式だけに全資産を投資してしまうと、資産の残高が株価の変動によって大きく左右されることになってしまう。もし、資産運用の目的が退職後の生活資金であれば、そこまで大きなリスクを負う必要がない。長期的に安定した運用利益を目指すのであれば、アセットアロケーションによる分散投資が効果的であると言える。

アセットアロケーションの例

アセットアロケーションの手法は、年齢や資産状況、リスク許容度、運用目的によって異なってくる。例えば、これから収入が上がっていくであろう20代と、定年退職が近づきつつある50代とではリスク許容度が異なってくる。

一般的に、国内金融商品より外国金融商品の方が、情報の入手が難しく、為替レートの影響を受けるためリスクは高くなる。また、債券より株式の方が、一般的に値動きは激しく、元本の償還期限がないという点でリスクは高いといえる。実物資産の代表である不動産は、価格の変動は比較的緩やかであるが流動性は低くなりやすい。金などの貴金属は株式のように配当金や分配金はなく、売買することでのキャピタルゲインを生む。このような商品性を念頭に置き、資産配分を考えていくことが望ましい。

アセットアロケーションの効果

資産運用におけるリスクとは「値動きの大きさ」を意味するが、相関係数を求めることで、値動きの相関関係を測ることができる。相関係数ではマイナス1に近づくほど逆の値動きをし、1に近づくほど同じ値動きをする。ゼロならば相関関係がないということになる。仮に国内株式と国内債券の相関係数がマイナス0.5であるとしよう。この場合、国内株式と国内債券は逆相関の関係にあるといえる。株式投資を行う一方、ポートフォリオに債券を組み入れることで、株価の変動による損失を軽減するアセットアロケーションの効果を得ることができるというわけだ。

アセットアロケーションの注意点

アセットアロケーションを行う上で注意すべき点を3つ紹介しよう。

まず、運用資産額が少額の場合、分散投資によるリスク軽減効果は薄い。1万円の資金を2,000円ずつ5つの資産に分散したとしても、そこから得られるリターンは限られている。投資額が比較的少額であれば、全額を株式に投資した場合の損失額も限られたものになるからだ。また一般的に分散投資は、同額をひとつの資産に集中投資するより、コストがかかる。スケールメリットが働かないためだ。

二つ目に、アセットアロケーションでは定期的なリバランスが重要である。設定する当初に適切な配分を決めたとしても、運用結果により配分割合が変化する。例えば、国内株式へ資産の25%を投資した後、株価の上昇により配分割合が35%に上昇した場合、資産に対する株価変動のリスクが高まることになる。アセットアロケーションは最初に設定すれば終わりではなく、一定期間ごとにリバランスを行い、リスク許容度を一定に保つことを忘れてはならない。

三つ目に、現在のような金融緩和(量的緩和)を行っている際は、行き場を失った巨額のマネーがあらゆる資産価格を押し上げる傾向にあるので、狙ったアセットアロケーションの効果を得られない場合がある。前述の国内株式と国内債券の相関係数を例にとると、金融緩和により相関係数がプラス圏になってしまうようなケースだ。相関係数がプラス圏であると、国内株式と国内債券が同じような値動きをしてしまう。

上記のことに気をつけながら、適切なアセットアロケーションを行って資産運用をして欲しい。 (提供: みんなの投資online

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